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統一教会問題で知るべきカルトの勧誘手口。対策弁護士に聞く「特徴は5つある」

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 統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)による被害がにわかに注目されている。人生を破滅させるほど献金させられる人を、浅はかだと思うだろうか。「自分は宗教には騙されない」と思うだろうか。

信者

※画像はイメージです(以下同じ)

 しかしカルト勧誘の手口は巧妙だ。最初から「うちは〇〇教です。大金を献金してもらいます」とは言われない。知らないうちに心の中に入り込み、気づいたときには抜けられない心理状態になっているという。カルトには「近づかない」のが一番なのだ。

 インタビュー前半に続きまして、カルトが今、どんな手口で勧誘してくるのか、その実態を全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士に聞いた。

【インタビュー前半】⇒なぜ信じてしまう?旧統一教会信者の心理を、弁護士に聞いた

コロナ禍でSNSがメインの勧誘手段に

――コロナ禍での統一教会の勧誘はどのように行われるのでしょうか。

阿部克臣(以下、阿部):以前は街頭や大学といったリアルの勧誘がメインでした。それがコロナ禍になってから、SNSがメインの勧誘手段として使われています。違法な勧誘がされていますが、実態が見えにくくなっているんです。

 大学生や若者向けのTwitterアカウントを作り、SDGs、環境問題や国際協力といった、意識の高い若者が関心を持ちそうなテーマのイベントを企画します。それをTwitterなどで参加者を募ります。

 例えば「春から××大学」のようなハッシュタグを作って、同じハッシュタグをつけてツイートしている人や、明らかに新入生とわかる人にリプしていくんです。まずは肯定的なコメントを入れて警戒心をなくしていって、そのうちにDMを送る。「今度一度会いませんか」と言って接近していくんです。

 ステップとしては、まずは声掛け、今だったらSNSで、イベントの参加などの接近の段階があって、その後、人間関係構築ですね。そのあとに宗教であることを明かします。

若者を狙う「プチカルト」が増えている

信仰

――90年代に統一教会やオウム真理教が社会を賑わせました。それらを実感として知らない世代は、知識や警戒心に差があるように感じます。

阿部:カルトに限らないと思います。マルチ商法的な勧誘や振込詐欺の受け子をさせるのも同じかもしれないです。また最近増えてるのが、プチカルトです。

 カルトは、オウムとか統一教会のような大きいものだけではなく、我々も聞いたことがないような団体が星の数ほどあるんです。覚えておいていただきたいのが、カルトの破壊力は、必ずしも組織の大きさに比例しないことです。

 数人や数十人といった小さい団体でも、大きな人権侵害が行われている場合があるんですね。規模が小さくてもすごい攻撃力が高いとこもあるんですね。宗教に限らず自己啓発セミナーや占い、大学生を狙ったマルチ商法的なものも、かなりカルトに近い実態があるものもあります。

 今、非常に問題になってるのが「摂理」という韓国のキリスト教系団体です。教祖のチョン・ミョンソク(鄭明析)は、2006年、女性信者に対する性的暴行をした罪により韓国で懲役10年の実刑判決を受けました。その事件はえん罪だと主張していますが。それが今、SNSを駆使して勧誘活動を行い、勢いをつけています。我々全国霊感商法対策弁護士連絡会でも非常に問題視しています。

(※後日、編集部が行った取材に摂理側は「実刑判決について、さまざまな疑問点があります」と回答。詳細は後述)

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