試作品の感想を聞かれ思わず…コンドーム「開発現場」のピュアな恋愛事情
湘南ゴム工業株式会社で営業担当として働く砂上(さがみ)くんが社内で一目惚れしたのは、ミステリアスな理系女子ムスブさん。そんな彼女の仕事はコンドームの開発で……。
ゲッサンで連載されている『あそこではたらくムスブさん』(小学館)は、ピュアで誠実な恋愛描写に加え、取材に基づいたリアリティのあるお仕事描写で、知られざるコンドーム開発の現場を描いている。
誕生の経緯や取材の裏話を語ってもらったインタビュー前編に引き続き、後編はヒロインムスブさんの魅力の秘密や、モリさんが「あそこではたらくムスブさん」に込めた思いを聞いた。また、インタビューと共に、『ムスブさん』の第2話を紹介する。ぜひ最後まで目を通していただきたい。
【前回の記事】⇒≪恋したリケジョは「コンドームの開発者」。いきなり試作品を手渡されるお仕事≫を読む
【マンガ】⇒『ムスブさん』の第2話を読む
ヒロインの内面描写は「担当の奥さん」を参考に
――本作のヒロイン近藤結さん(以下、ムスブさん)について詳しく教えてください。過去作『まねこい』(小学館)に登場する近藤楓さんというキャラクターが元になっているという話もありますが。
モリ:外見は過去作『まねこい』の近藤さんほぼそのままです。彼女はなぜかヒロインや主人公を差し置いてぶっちぎりの人気があって。だから何かの形でもう1度描きたいと思っていました。もちろん中身は別人です。『まねこい』の近藤さんは高校生ですが、ムスブさんは社会人として研究開発の仕事をしていますしね。
――本作のヒロインとしてのムスブさんの内面を、どのように作っていったのでしょうか?
モリ:初代担当の現在の奥さんが研究職だったので、連載前にお仕事や理系あるあるについて聞いてキャラ作りの参考にしたりはしました。あと自分の漫画は、女性キャラの心情みたいなのを描くとウケがいいなというのがあって。でも『ムスブさん』ではあえて最初はあまりヒロインの心情を描写しませんでした。それを砂上くんとの仲が進展したタイミングで、一気に明かすとグッとくるんじゃないかというチャレンジをしてみた感じです。
「手の仕草の表現」を大事にしている
――他に登場人物を魅力的に描くためにこだわっているポイントはありますか?
モリ:手の仕草の表現は大事にしています。肩から上しか入っていないコマでも、なるべく入れるようにしてみたりとか。でも、手って描くのが難しいんですよね。だから自分の手を撮影して参考にする時もあります。でもそのせいで、写真フォルダがずらっと僕の手だらけに……。気持ち悪いので描いたらすぐ消します(笑)。
各キャラの私服描写にも力を入れていますね。ムスブさんの場合は、私服はスタンダードなものより少し尖った印象を意識して、彼女のファッションへのこだわりや興味を表現しています。