意外と知らない日本で“最も税負担率の重い”商品とは?税収は2兆円以上を維持
たばこ税は、2003年から2020年まで計5回も増税されてきた。世界の流れから見れば、たばこは値上がりしており、吸える場所も絞られてきて、喫煙者が不利になっているのは間違いない。なぜ、たばこ税は上がり続けるのか、その理由を検討していく。
嘉悦大学ビジネス創造学部教授・髙橋洋一氏が、新刊『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』より、得意の理詰めの論法で財務省の主張を論破する(以下、同書より)。
日本で最も税負担率の重い商品のひとつ
日本たばこ産業(JT)のホームページを見ると、たばこは税負担が重い商品で、たばこの価格には国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税の4種類もの税金が含まれている。銘柄などによって異なるが、たとえば一般的な紙巻たばこでは、税負担率は6割にも達する。
たばこは、ビールやウイスキー、ガソリンや灯油などと比較しても、日本で最も税負担率の重い商品のひとつとなっている。
喫煙量は年々減少傾向にあり、一般社団法人日本たばこ協会が発表している紙巻きたばこの販売数量のデータを見ると、1996年度の3483億本がピークで、直近の2020年度には988億本まで落ち込んでいる。
一方で、財務省(国たばこ税とたばこ特別税)と総務省(地方たばこ税)が発表しているたばこ税の推移を見ると、少なくとも1998年度以降2020年度まで、2018年度を除いて税収は2兆円を超える水準で維持されている。
税金を課しても愛煙家はやめない
見方を変えれば、2兆円を下回らないように税率が調整されているともいえる。習慣性、中毒性があるものについては、社会のムードを読みながらどんどん税金を課していく。それでも愛煙家は吸うことを止めないだろうという算段だ。
たばこを止めたら、それはそれで健康によくなる。社会保障費は1990年度に11兆6000億円だったが、2021年度には35兆8000億円になっている。財務省としては、この社会保障費を削りたい。だから国としては、たばこを吸おうが止めようがどちらに転んでもオーケーなのだ。
それでたばこの税金がどんどん上がっている。そういう仕組みだ。