雑談が苦手な人が勘違いしている「アイスブレイク」という強迫観念
会議や面談、打ち合わせなど社会人になったら欠かせない雑談。「何を話せばいいかわからない」「沈黙が怖くてとにかく何か話し続けている」という人も多いのではないでしょうか。
企画した本の累計は1000万部を突破し、自身2冊目となる著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(かんき出版)も発売1カ月で5万部を突破した、株式会社アスコム取締役編集局長で、編集者の柿内尚文さん。長年の編集経験で培った「伝わる技術」をまとめた同著から、誰もが一生役立つ「雑談のコツ」について話を聞きました(以下、同書の内容をもとに加筆)。
「雑談」を無理やりしていないか
雑談が苦手な人は多いと思います。何を話していいかよくわからないときってありますよね。特にエレベーターの中でふたりきりになってしまったときなど、ちょっと気まずい時間になったりすることも。
打ち合わせの前であれば、雑談をすることで、アイスブレイクをして緊張を和らげる。そのために無理やり雑談をしているケースもあると思います。僕も以前は「このちょっとした緊張感を和らげるためにアイスブレイクしないと」という義務感で、無理やり雑談をしていました。
「今日はどう経路でこちらに来られたのですか?」
「こちらのオフィスの受付、おしゃれですね」
など、当たり障りのないことを雑談ネタとして話していました。でも、いっこうに雑談の苦手意識が消えませんでした。
「雑談が苦手な人」が抱きがちなこと
なぜなんだろう? 自分なりに考え、気づいたんです。「アイスブレイクをしないといけない」と思うことが、雑談を苦手にする原因だったということに。
つまりこういうことです。アイスブレイクをするのは、その先にある目的を達成するためです。「今日の打ち合わせをうまく進めたい」「交渉相手からイエスを引き出したい」などの目的があり、そのためのアイスブレイクだったのです。
目的は打ち合わせや交渉をうまくいくようにすること。雑談もその手段のひとつでした。だから、緊張したり、うまくいかなかったんだということに気づいたんです。