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借りた20万円を持ち逃げされて…20代男性が「カネの切れ目」を実感した瞬間

コラム

「カネの切れ目が縁の切れ目」ということわざもあるように、人間関係に金銭を絡めてしまうと、あっけない終焉を迎えることも多いようです。今回は、借金して失ったお金よりも、思い出に傷がついたことを後悔しているという、田尻省吾さん(仮名・27歳)のエピソードを紹介します。

お金

※画像はイメージです(以下同じ)

孤独と不安を打ち消してくれた人

「本格的なデザインを学びたくて転職し、田舎から上京しましたが、転職先はハローワークで見た求人内容とは違っていたんです。土日は休みでしたが、残業も多くて給料も安かったため、すぐに休日のみでWワークを探しました」

 知らない町で、頼れる人もおらず心細い思いをしていた田尻さんでしたが、Wワーク先の飲食店で10歳上の男性Fさん(37歳)と出会います。年齢差はあったものの、働き始めたのが2週間違いだったこともあり、すぐに親しくなりました。

「Fさんは、役者になるという夢を諦めきれずに仕事を辞めて劇団に入り、『奥さんにパートで支えてもらいながら劇団活動をして、自分も飲食店で働き始めた』のだとか。何歳になっても夢を捨てずに頑張ってカッコイイと思っていました」

 仕事もできて話題も豊富なFさんの計らいもあり、田尻さんも徐々にスタッフたちと打ち解けられるように。さらに、本業の職場環境に苦しんでいたときにも真剣に相談に乗ってくれたと言います。

奥さんが階段から落ちて困っている

病院

「悪条件だけどせっかく雇ってもらえたんだし、デザインの勉強や恩返しをしてから転職しようと思っていた僕を、『そんなことをしていたらボロボロになる。転職するなら早いほうがいい』と何度も説得。背中を押してくれたんです」

 そういった経緯もあり、何かあったときにはFさんの役に立ちたいと考えるように。田尻さんが元気のないFさんを心配して声をかけたのは、働きはじめて半年ほど経ち、転職先での研修期間も終えた頃でした。

「最初は『何でもない』と言っていたんですが、何度か尋ねてみると、奥さんが階段から落ちて入院してパートに行けなくなり、お金に困っていると相談されました

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