コロナで増えるSNS詐欺トラブル。いいねやRTから“数十万円の被害”も
終わりの見えないコロナ禍で、ますます仕事が減り、金銭的にも困っている人も少なくないのではないでしょうか。こうしたなかで、詐欺・悪徳業者は相変わらず、SNS上に「稼げます」「副業の方法を教えます」という宣伝文句で罠を仕掛けています。
「国からの補助金を受け取れます」。例えば、この言葉を見て「どのようなお金がどれだけ受け取れるだろうか」と思った方もいるかもしれませんが。実は、そう思うこと自体が、すでに危険な罠にはまっているかもしれないという話です。
SNSで弱みが把握されてしまう
実際にこの宣伝文句をきっかけに金銭的なトラブルに遭ったという相談が国民生活センターに寄せられています。
SNS上でこの宣伝を行う相手と連絡を取った40代の女性は、「詳しいことは、セミナーで説明をする」と言われたそうです。いざ行ってみるとセミナー会場には、数十人の男女がいました。そこで聞かされるのは、国からの補助金とは何の関係もない副業への勧誘話でした。いかにも怪しいシチュエーションですが、この女性は副業サポート契約を勧められて、60万円ほどを払ってしまっています。なぜなのでしょうか?
実はSNS上で、すでにその人の弱みやニードポイントを把握されているからです。今回のような「お金が受け取れる」の文言に引き寄せられる人は、「今の金銭状況は不満で、もっとお金がほしいと考えている人」という自分の情報を相手に伝えてしまっているようなもの。騙す側は、常に相手の弱みに付け入ろうとするものです。
他にも、有名人をかたったりして「お金をあげます」といった書き込みも多くみられますよね。いいねやリツイートをしてしまった場合、「お金に困っている」という情報を相手に伝えてしまうことになり、悪意ある人間から詐欺などのアプローチをうけることになりかねません。事前にこちらの弱みを握られて、用意周到に勧誘されてしまう……これがとても怖いのです。
被害者になるだけではなく…
ですが、まだ被害者になるならまだ良いのかもしれません。2020年、同様の「国からの金を受け取れる」というSNS情報をきっかけに持続化給付金詐欺に加担した結果、犯罪者になってしまう人も多くいました。
国はコロナ禍で苦境にあえぐ個人事業主、法人を救済するために、持続化給付金制度を2020年5月にスタートさせました。ご存じの通り、必要書類さえそろえれば、審査はほぼない状態で個人事業主は100万円を受け取れたのです。
ここに詐欺をたくらむ者が入り込み、「国からのお金が簡単に手に入る」という甘い言葉で受給資格のない人たちを誘い、応募してきた人たちを偽の個人事業主に仕立て上げて不正受給させていました。そして受け取った100万円のうち3~7割の手数料をその方法を指南した人物に渡させるのです。
この情報に乗ってしまったのは、制度をよく熟知しない若者が中心で、名義貸しをしてしまうことで、犯罪に手を染めてしまったのです。このようにSNS上の儲け話は、被害者どころか、加害者にもなりうる危険な情報も存在することを知っておいてください。