マルチ集団の実態を描いた実体験漫画。被害者の心情は「推しに貢ぐ感覚」
社会問題となっているネットワークビジネス。しかし、その実態はあまり知られていません。
当時会社員だった勇者りっこさんは、失恋して出かけた街コンである女性と出会います。彼女に紹介された「先生」に誘われ、そのままネットワークビジネス集団「M会」に入会し、会員として壮絶な日々を送りました。
脱会した現在は、幼なじみのぺぺ彦さんとブログで当時の体験談『悪徳ネットワークビジネス集団にいた話』を連載しています。今回はお2人のユニット・ペペリコさん(@ricco_pepehiko)に本作の創作秘話と、ネットワークビジネスのリアルについてお聞きします。
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そもそもネットワークビジネスを知らなかった
――なぜ「悪徳ネットワークビジネス集団にいた話」を描こうと思ったのでしょうか?
勇者りっこ:コロナ禍で連絡を取り合う機会が増えて、そのとき初めて過去の体験が話題になったのがきっかけです。
ぺぺ彦:まさか幼馴染がこんな体験をしていたとは思わず衝撃でした。ですが当時を思い返すと、少し違和感を抱いたことはありました。久しぶりに会った時の近況報告がふわっとしていたりとか。
その後、もともと私がブログに漫画を載せることに興味があり、「一緒に漫画にしてみない?」とりっこを誘いました。そのまま2人ともノリノリで話が進みましたね。
――本作を描きはじめる前、ぺぺ彦さんはネットワークビジネスに対してどのような印象を持っていましたか?
ぺぺ彦:そもそもネットワークビジネスを知りませんでした。マルチという言葉は聞いたことありましたが実態がよくわからず、なんとなく関わりたくないなという印象を持ちました。
――作中で語られるりっこさんの体験は衝撃的です。毎月13万円分の商材を買わされていたり、高額なセミナーへの参加を勧められたり……。
勇者りっこ:恐ろしいことに、当時も貢がされている自覚はあったんですよ。集まった仲間と「私たち養分だね~(笑)」とブラックジョークを言い合うことすらありました。
推しに貢ぐみたいな感覚に近い?
――それでもお金や労力を捧げ続けたのはなぜだと思いますか?
勇者りっこ:会員は先生(グループのリーダー)を崇拝に近いくらい尊敬しています。熱狂的なファンが推しに貢ぐみたいな感覚もあったのかもしれません。
――実際に入会し、脱会した方の視点から語られる体験は興味深いです。
勇者りっこ:私は勧誘を受けた側でもあり、した側でもあるので、その両方の視点から描いていきたいです。この作品を読んで勧誘の流れがわかっていれば、違和感にも気づきやすくなるのかなと思います。啓蒙的な意味もこめて描いている部分はありますね。