『キングダム』だけじゃない「人間の生きざま」を学べる歴史マンガ5選
「新しい生活様式」が始まって2年、テレワークにオンライン会議など、今までになかった働き方に当初は困惑する方も多かったのではないでしょうか。
ようやく少しだけ先行きが見通せるようになってきたとはいえ、以前と同じ価値観や働き方を続けていては、この変化の多すぎる世界で生き抜くことは難しいと肌で感じているはず。どんな状況でも変わらない「自分自身」でいるために必要なこととは何か……?
人気漫画『キングダム』でも、先人たちの生き様から多くのことを学べます。2021年6月現在、国内最大級の品揃えである累計約116万冊のマンガや書籍を配信する、総合電子書籍ストア「ブックライブ」より、年間2000冊のマンガを読むマンガのスペシャリスト「書店員すず木」が、自らの信念を貫き、激動の時代を生きた人物たちを描いた歴史マンガを紹介します!
① 「本当の強さ」を考える『ヴィンランド・サガ』
『ヴィンランド・サガ』
作者名 :幸村誠
出版社:講談社
あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そんなヴァイキングの戦士の息子として産まれたトルフィン。彼がさまざまな戦いや人間関係を通して成長していく姿を描いた作品です。
ヴァイキングとしての過去の過ちを悔いながら、殺してしまった多くの人の魂を背負って夢に進むトルフィン。「本当の強さとは何か」という問いに対する答えが、あるいは願いが、丁寧に描かれています。
現代の日本において命がけで誰かと肉体的に戦うということはなかなかないにしても、どんどん加速度を増していくこの時代を生きていく中で「どんな状況でも揺るがない精神的な強さが欲しい」という思いは誰でもが抱くはず。
数々の挫折を経験しながら成長していく主人公のトルフィンをはじめ、ほかにも激動の人生を送った魅力的な人物が数多く登場する本作、ぜひ「本当の強さとは何か」について、物語を通して考えてみてください。
② 信念に胸打たれる『チ。―地球の運動について』
『チ。―地球の運動について』
作者名 :魚豊
出版社:小学館
続いてのおすすめは「天動説:地球を中心に太陽などほかの惑星が回っている説」が正しいとされ、現代では当たり前である「地動説:太陽を中心に地球などの惑星が回っている説」は宗教的に異端の考えとされており、支持する人々が火炙りの刑に処されていた15世紀のヨーロッパにおいて、「地動説」を信じた人たちを描いた物語『チ。―地球の運動について』です。
「地動説」を「正」としたときに導かれる宇宙の規則性の美しさにとりつかれ、誰も賛同しないその考えを後世に残そうと命を燃やす人々の姿に圧倒されます。
命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? 命を捨てようとも決して曲げなかった何人もの信念が受け継がれ、今につながる科学の歴史が紡がれてきたという事実に胸を打たれます。