「崩れた寿司は自分で握る」フード配達員のヤバすぎる実情に唖然
コロナ禍により日本でも仕事をなくし、生活苦に陥る人が増えている。そんななか、東京で屈強な肉体を武器にハードデリバリーの職に就く人も多い。
多様な働き方の調査研究機関「ツナグ働き方研究所」が今年(2021年)5月に発表した都市圏在住(政令指定都市を含む12都道府県)の15~64歳3777人を対象にした調査では、都市圏在住の日本人の12.7%がすでにフードデリバリーの仕事経験があるそうだ。
しかし、真面目な配達員もいる一方、お客の立場としては来てほしくないような魔物もなかにはいる。今回話を聞いたのは、北海道出身の田沢大輔(仮名・40歳)さんだ。
人生を変えるために上京したが…
上京して20年になるという大輔さんは、東京の専門学校を出て就職したものの、社内の人間関係に挫折して2年で会社をやめた。それ以降は、夜の工場勤務や建設現場の作業員などで生計を立ててきたというが、コロナ禍により仕事がなくなり無職になった。
「新型コロナウイルスのせいで、いまはアルバイトも見つからない。わたしは上京をきっかけに人生を変えたかったんだ。だから東京に来たんだよ」
大輔さんはそう語るが、地元の北海道ではつらい思いをしてきたのだという。他人の感情を読み取ることに疎く、コミュニケーションが苦手。そこで始めたのが、アプリのシステムで飲食店からお客さんへ直接料理を届けるフードデリバリーの仕事だ。
フードデリバリーは自転車だと限界があった
それならば、お店から料理を受け取るときと、お客さんに受け渡すときにだけ態度に気を付ければいい。サービス業によくある、無理な愛想笑いなどは不要だと考えたのだ。
「毎朝、自宅のある千葉から電車で東京駅まで行き、最初はそこでレンタル自転車を使って配達したよ。連日10時間以上自転車をこいだ。月30万円なら自転車で稼げると思った。しかし、自転車ではやはり限界がある。バイクが必要だ」
大輔さんは、配達をはじめて2カ月後に中古でホンダのスーパーカブを買った。しかし、コミュニケーションが苦手という大輔さんが、複雑な交通社会に出てバイクを運転するのは危険だ。運転とは他者とのコミュニケーションそのものだからだ。