磯村勇斗、“ヤクザ映画”共演の綾野剛に改めて感じた「本当に怪物だと」
映画『新聞記者』の藤井道人監督が、綾野剛さんを主演に迎え、現代のヤクザの生きざまを20年にわたって描いた話題作『ヤクザと家族 The Family』。柴咲組・組長(舘ひろし)のもとで、ヤクザの世界へ足を踏み入れた主人公・賢治(綾野)を、慕い続ける翼を演じた磯村勇斗さん(28)。
『今日から俺は!!』の相良猛、『きのう何食べた?』のジルベール、昨年話題を集めた『恋する母たち』の赤坂剛など、役柄ごとに全く違ったキャラクターを演じ切り、若手演技派としてどんどん評価を高めています。そんな磯村さんに、本作の役への印象や、時に「カメレオン俳優」と称されることへの感想などを聞きました。
すごいところに着眼点を置いた映画
――今の時代、いわゆる“ヤクザもの”を撮るのは難しいと思いますが、その難しさにまっすぐ目を向けた作品ですね。
磯村勇斗(以下、磯村):藤井監督はすごいところに着眼点を置いたなと思いました。『新聞記者』もそうですけど、ヤクザの裏側というか、暴力団対策法のこととか、警察との癒着であるとか、現実にでもあることだと思います。
ヤクザの味方をするわけではないですが、彼らもひとりの人間であることは確かで、そこをうまく問題提起できている。すごくいいバランスで、社会の問題、家族の話を取り扱っていると感じました。
――磯村さんの演じる成長した翼は、後半に登場します。物語を観終わったあとも、観客が作品を持ち帰るために重要な役割を果たしていく役柄ですね。
磯村:そうですね。最後は本当に大事だと思いました。そこまでにどれだけのことを吸収できるかで決まってくるので、綾野さんが演じたケン兄たちのことを、常に見ていました。
クランクアップ後に役が体に残ることはない
――翼を演じてみての率直な感想は?
磯村:難しかったです。気持ちを出したくても押し殺しながら生きている人なので。でも、それによって新たな表現の仕方を知ることができたと思います。それに、とても頭のいい立ち回り方をするので、いかに冷静に判断していくかも問われました。翼という役を通して、俳優・磯村勇斗に返ってくるものは大きかったです。
――ちなみに、クランクアップ後も役柄が体に残るといったことはあるのでしょうか? ずっと蓄積していくとか。
磯村:いや、全然。撮影が終わったら、旅をさせています。翼も同じです。撮影が終われば、抜いてしまうので。