2019年相次いだ「企業の不祥事」の裏側。レオパレスは早くも復活?
2019年ももうすぐ終わりですが、今年も様々な企業不祥事がありました。前年から続く日産自動車やスルガ銀行、関西電力やゆうちょグループなど、毎月のように立て続けに不祥事が表に出てくるようになりました。
会計分野に詳しいアルファツイッタラーのたにやんさん(@t_taniyan)に、不祥事が続出する背景を分析してもらいました。
景気が下降局面になると不祥事が表出する
企業不祥事というのは、大別すると「①景気下降局面での粉飾や横領」、「②景気関係なく起こる品質偽装や不正強要」などのカテゴリに分かれます。また、最近ではコーポレートガバナンス強化の一環で、上場企業には社外役員の設置が義務付けられるようになったことも、不祥事がより一層、表に出やすい環境を作っています。
2つのカテゴリを説明すると、1つ目の「景気の下降局面」で起こる話としては、昔からずっとよくあることですが、「業績が思うようにいかない。このままだと未達になるから」と粉飾に手を染めるという定番のパターンです。また個人経営者の場合は、景気が良い時にたくさんの賞与やインセンティブが出て生活水準が上がってしまったが、ひとたび景気が悪くなると金策に困り、横領に走るというものもあります。経理部門で帳簿を書き換えるだけでなく、最近では取引先と共謀して巨額のキックバックをもらうという例も目にすることが多いでしょう。
また、カネ余りの状態から少しでも引き締め方向に向かうと、(不動産融資や海外からの投資など)今まで隠れていたものが表に出てくるという話もあります。わかりやすい例ではスルガ銀行のシェアハウス融資はお金が回らなくなるとすぐに表に出ましたし、こちらは不祥事ではないですが、ソフトバンクの出資先のWeWorkなど経営が危うくなった途端、スキャンダルが続出した典型例と言えるでしょう。
実態の伴わない会社に高い時価総額が付いて、お金が回っている間はそれでもいいのですが、赤字がいつまでも続くようだとすぐに資金繰りに支障をきたし、「含み益が何兆円です」と大々的にうたっていた幻想がはじけてしまうのは、今まで何度も局所的なバブルでたどってきた道です。
人手不足になると内部通報が増える
次に、カテゴリ2つ目ですが、品質偽装や不正の強要、過剰労働の告発などが内部通報から表に出る例が目立つのも、最近の傾向として挙げられます。
ひと昔前の求人難の時代ですと、会社をやめると他に仕事がない従業員が、仕方なく(粉飾などの)指示に従うということが多かったと思います。が、それが表に出てくるようになった背景には、内部通報制度の定着もありますが、早い話が世の中、人手が足りない状態が続いており、不正に協力するぐらいならそことは仕事せず、転職してしまおうということでしょうか。
たとえば過重労働や違法残業などは、働き方改革などの影響で、多少は改善されつつあるので、何かあったら我慢せず表に出てくるようになりました。過剰労働や違法残業は、末端の現場や従業員の話ですので、気軽にネットなどにも出てきています。最近はSNSだけでなく、転職系の掲示板やQ&Aサイトなども充実しており、いくらでも告発の場所は用意されている世の中になりました。