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中国ではLINEもGoogleも使えない!?ネット規制とVPNの基礎知識

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中国ではLINEもGoogleも使えない!?ネット規制とVPNの基礎知識

中国では、インターネット検閲システムがあり、多くの日本人が当たり前のように使っているLINEやInstagram、Googleをはじめとした検索サービスにアクセスできません。「じゃあ中国に行ったら連絡が取れなくなるの?」と不安になりますが、日本と同じようにインターネットに接続する抜け穴がいくつかあります。その一つがVPN(Virtual Private Network)。この記事では、中国におけるネット規制の背景から日本と同じようにインターネットに接続する方法を解説します。

グレートファイアーウォールで外国の情報を遮断

中国には「グレートファイアウォール(GFW)」と呼ばれる、世界でも最も厳格なインターネット検閲システムがあります。

これは、技術的な仕組みと法律を組み合わせ、海外の特定サイトやアプリへのアクセスを制限するもので、インターネット環境を政府の管理下に置くことを目的としています。

実際に遮断されているコンテンツは多岐にわたります。Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、YouTube、LINEなどのSNS、GmailやGoogle MapsなどGoogleの各種サービス、CNNやBBCなどの海外ニュースサイト、Wikipediaなど、多くの情報源がアクセス不可となっています。

この規制の背景には、政府にとって不都合な情報や体制批判、抗議活動につながるような情報が広がることを防ぎ、政治的安定を維持したいという意図があります。

VPNに接続すればGoogleやSNSも使える

では、仕事や旅行で中国に長期滞在する外国人は母国のインターネットサービスを使わずに過ごしているのかというと、そうではありません。

代表的な抜け道のひとつがVPNです。VPNは、Virtual Private Networkの頭文字をとった略称で、インターネット上に安全なプライベート回線を構築する技術を指します。

VPNに接続してインターネットを利用すると通信が暗号化されるため、第三者による監視や傍受を防ぐことができるのです。また、実際のIPアドレスがVPNサーバーのものに置き換わるため、オンライン上での行動が追跡されにくくなります。

専用アプリのダウンロードや事前設定など手間はかかりますが、日本人を含む多くの外国人が、VPNを使って外国のアプリやサービスにアクセスしています。

駐在員が滞在するような高級サービスアパートメントには、VPN込みのWi-Fiが設置されている物件もあるようです。

ただし、中国政府はVPNの利用を厳しく規制しています。外国人が罰則の対象になることは稀ですが、許可されていないVPNの使用には注意が必要です。

筆者が中国に渡航した2017年は、VPNや外国サイトの閲覧規制が強化された年でした。Google検索の代わりに使っていたYahoo! JAPANの検索が使用不可となったり、無料で接続できた「VPNネコ」などのアプリも一網打尽にされ接続できなくなりました。

有料のVPNサービスの登録を余儀なくされましたが、サービスによっては突然接続できなくなったこともありました。

VPNだけじゃない?日本と同じようにネットを使う方法

長期の中国滞在で日本のインターネットサービスを日常的に使うなら、VPNの設定はマストと言ってもいいでしょう。ただし、短期の旅行や出張であれば、他にも選択肢があります。

・日本で使っているスマホを国際ローミングする
・VPN付きのSIMカードを渡航前に購入しておく

日本で使っているスマホのキャリアのまま中国に持ち込み、現地で国際ローミングをオンにすると使えることもあります。ただし、データ通信量が高額になりますので、海外専用の定額通信プランを別途購入するか、VPNサービスにも登録しておいたほうが無難です。

VPN接続が可能なSIMカードを用意しておくのもひとつの手段です。事前設定が必要になる場合もありますが、VPNサービスだけを登録・設定するよりは楽かもしれません。

筆者は2025年1月に1泊2日で中国を訪れました。事前にVPNサービスを契約して渡航しましたが、現地でも問題なく日本のサービスにアクセスできました(速度は日本よりもかなり落ちますが)。

2025年4月8日時点でも、中国政府からVPNに関する新たな規制は発表されていないようです。中国に渡航することがあれば、最新の情報をチェックしてネット接続への対策をしておきましょう。

1987年奄美大島生まれ。Webメディアを中心に、書籍の著者インタビューや生成AIの活用法、中国に関するコラムなどを執筆。在外教育施設(日本人学校)の教員として、2014年からタイ・バンコクに3年、中国・深圳に5年間滞在。帰国後にライターとして活動を始める。2024年から、日本国内の小学校で講師として勤務しながら執筆を続けている。

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