「転職で年収アップ」の考え方はかなりキケン。キャリアで持つべき“2つの視点”
「上司ガチャ大外れ」「思っていた以上にブラックな職場だった」「給料が上がらない」などと、自分のキャリアに後悔している人も多いはず。
コロナ禍も落ち着いてきた頃だし、そろそろ転職活動をしてみよう……と考えた時、気になるのは転職市場の現状と、どうしたら転職活動に失敗しないか、ということではないでしょうか。
今回の記事では、事業会社人事経験が18年、大企業の人事部長を務めた人事のプロで、採用管理システム「sonar ATS」を提供するThinkings株式会社執行役員CHROの佐藤邦彦氏に、転職の「イマ」と、失敗しないための転職活動のポイントについて教えてもらいます(以下、佐藤氏寄稿)。
急速に変化する転職市場
転職市場は急速に変化しています。長らく採用は、企業が求職者の中から人を選び、求職者は採用されるために頑張る、という「企業が優位」なスタイルがスタンダードでした。ですが今は、労働力不足もあって、企業と求職者が限りなく「対等な立場」に変化しつつあります。
さらにここ数年の間でその変化は顕著になりました。この変化を見過ごしていると、多くの応募が集まる大手企業でも「内定を出した求職者がベンチャー企業を選ぶ」というようなことが発生しているのです。
企業と求職者が対等な関係になったことで、自身がどの企業に入社するかを選べる環境になりました。求職者にとっては転職しやすくなったといえます。しかし、転職しやすいからといって、気に入らない職場だったらすぐ転職するなど、一貫性のない職歴を重ねてしまうのは非常に危険です。
人事目線での面接対策は?
そんな中で転職活動を成功させるために、人事の目線から意識してほしいことは「未来の話ではなく過去の話をきちんと整理しておく」ことです。
コロナ禍の影響で面接のオンライン化が進み、対面で得られていた情報が削ぎ落とされました。例えば受付での対応や挨拶、面接するまでの立ち振る舞い、他の社員への対応といった周辺情報です。これらは補足情報。それのみで合否を判定することはありませんが、環境変化によって、人事はより一層求職者の本質を見極めることに集中するようになったといえます。