20歳のAdoが全米本格進出。“名門音楽レーベル”と契約だが勝機はあるのか
現在公開中の映画『ONE PIECE FILM RED』でヒロイン・ウタの歌唱シーンを担当するAdo。主題歌の「新時代」をはじめ、サントラ収録曲がチャート上位を独占する大ヒットを記録しています。
そこへさらなるビッグニュースが飛び込んできました。2022年10月25日、20歳の誕生日にアメリカのゲフィン・レコードとパートナーシップ契約を結んだことを発表。11月4日の同映画の北米公開とあわせて、ネットを中心に湧き上がりました。
音楽ファンなら誰でも知っている老舗
ゲフィン・レコードといえば、数多くの大物アーティストを抱えてきた名門レーベルです。ジョン・レノンの遺作『ダブル・ファンタジー』をはじめ、エアロスミスやガンズ・アンド・ローゼズなどのハードロックから、ニルヴァーナやソニック・ユースなどのオルタナティブロックに至るまで、幅広いジャンルの名作を手掛けてきました。
音楽ファンなら誰でも知っている老舗で、ロック史を語るうえで欠かせないレコード会社なのです。Ado本人も<世界的に有名なチームと一緒に、J-POPをVOCALOIDを世界に発信していきます。>と語っていることから、早くも期待が高まっています。
というわけで、“全米でのAdo”はどんな感じになるのでしょうか? 少し気が早いのですが考えてみました。
音楽に付随する価値を打ち出せないと…
まずゲフィン・レコードについておさらいしておきましょう。今回ざわついたのも知名度の高さからでした。けれども、いまの所属アーティストを見ると今年のグラミー賞で3冠を獲得したオリヴィア・ロドリゴ以外は小粒なのですね。かつての音楽業界の盟主にしてはさびしいような……。
むしろビリー・アイリッシュやラナ・デル・レイ、Zeddなどが所属している姉妹レーベルのインタースコープ・レコードのほうが今っぽいワクワク感があったかもしれません。その意味でゲフィン・レコードは意外でしたし、ちょっと肩透かしだったことは否めませんでした。
とはいえ、結局は実力がモノを言う世界。プレゼンテーションが肝心です。ただ“歌が上手い”とか“曲がいい”だけでは売れないのが現代のヒットチャート。音楽に付随する価値を打ち出せなければ、あっという間に埋もれてしまいます。20歳の日本人女性が国際社会に向けてどのようなメッセージを発することができるか。これは重要な“つかみ”です。