普通の子が“ホス狂い”になるまで。恐るべき「ホストの営業力」を解く
ホストにハマってしまった女性を表す“ホス狂い”。当事者たちの体験談はSNSやYouTubeで定期的にバズり、漫画『明日、私は誰かのカノジョ』(作・をのひなお)は累計300万部を突破。2022年4月には実写ドラマ化するなど社会現象化している。
『ホス狂い』(鉄人社)を上梓した作家の大泉りか氏(@ame_rika)は「取材したホス狂いの女性たちは、一見すると普通の子ばかり」と語る。
「普通の子」が一晩で何十万、何百万円もの大金をつぎ込むホス狂いになるまでに、ホストはどのような力学を働かせているのか。ホストの「夜の営業力」について大泉氏に詳しく話を聞いた。
億り人も多発、一体なにが起こっているのか
〈去年の売上は7500万円ほど。けど今年はエグい、すでに8月の時点で、売上は1億円を超してます。うちの店の1位から10位までは全員月の売上は1000万以上はありますよ。年間3億円を売り上げたという話も聞きましたね〉
そう語るのは、新宿歌舞伎町にあるホストクラブに勤める20代ホスト。大泉氏によれば、サラリーマンの年収をはるかに超える売上を達成するその営業法は、多岐にわたるという。
バリエーション豊富な“営業”
「代表的なのが、女性客に恋愛感情があるかのような態度を取る色恋営業。なかでも、『自分は本命のカノジョ(本カノ)だ』と女性に思わせる“本営(本命営業)”を仕掛けられたことで、ホス狂いになる女性も。お店に多額のお金を落としてくれる“太客”や最もお金を使う“エース”が本営の対象になることが多いですね」
そのほかにはこんな営業法も。
「本営をより強固にするために一緒に暮らす“同棲営業”、『ホストを引退したら結婚しよう』と約束させる“結婚営業”、まるで友達と楽しく飲むような接客をする“友営”、『今月がピンチなんだ!』と苦しそうなところをアピールして、相手の庇護欲に訴える“病み営”とバリエーションは豊富ですね」