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日本経済が復活するこれだけの理由。トルコ出身のエコノミストが提言

ビジネス

中国製品は「踏み絵」に

中国 経済

エミン:これからファーウェイなどの中国製品やシステムはある種の「踏み絵」のようになると考えています。たとえばアフリカは全55か国のうち、ファーウェイの通信設備を使い、業務提携している国は40か国以上にのぼるなど、対中依存度が強いです。

 しかし、中国の債務は過去15年間で拡大を続けており、ウイグル自治区の弾圧問題などを抱えています。また中国の2021年4~6月期の実質GDPはプラス5.3%ですが、少子高齢化などの期間に入れば下がってくると思います。

 米中新冷戦が加速するなかで、ロシアやイラン、アフリカ諸国はますます中国製を扱い、欧米諸国や日本ではそれ以外を使用するようになるのではないでしょうか。中国で製造や投資をするリスクが相対的に高くなれば、その点も日本にとって追い風です。

任天堂とSONYは世界に誇れる企業

任天堂

a> Nintendo Switch video game console developed by Nintendo, released on March 3, 2017 on a white background. ©Luchschen

――日本企業の中で注目している会社はありますか?

エミン:任天堂は常にイノベーションを行い、時代に合わせて変化しています。大ヒットした「Nintendo Switch」には「いつでも、どこでも、誰とでも」というキャッチフレーズがあります。TVモード、テーブルモード、携帯モードと3つの楽しみ方をウリにしていて、そのバリエーションに魅力を感じる人は多い。こういったイノベーションができる企業は強いです。

 また、ポケットモンスターは「世界で最も成功したフランチャイズ」と言われ、メディアミックス総収益は921億ドル(約10兆円)にものぼり、調査会社のデータでは「スターウォーズ」やミッキーマウスを超えています。日本の漫画、アニメは世界の共通言語として認知され、コナミ、カプコンも世界的に人気のあるゲームメーカーです。

 また、ソニーグループも世界有数のコンテンツメーカーであり、1989年に映画配給会社の米コロンビアピクチャーズ買収をきっかけに、映画、音楽と幅広いコンテンツを提供して、過去最高益を更新しています。

 コンテンツ以外にも、自動運転には周囲の状況を正確に把握するためのイメージセンサーが欠かせませんが、ソニーはその世界シェアの約50%を握っています。また、グループ会社のアニプレックスがアニメ「鬼滅の刃」の制作を行い、一大ブームをおこしたのは記憶に新しいところですね。

 またバッテリー、スマートグリッド(次世代送電網)などの分野で世界に誇るべき技術があります。中国の製造業が下降線を辿るのと、逆に日本の工場に需要が戻ってくるのではないでしょうか。

日本経済復活への新シナリオ

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旧冷戦終結で低迷した日本経済は、新冷戦開始で大復活を遂げるのだ。「アメリカ is バック」の先にある「ジャパン is カムバック」のシナリオを描く!

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