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突発性難聴になったラッパー輪入道に聞く「手話ラップ」に挑む理由

暮らし
輪入道さん

「今のラップシーンって飽和状態に近い感じ」

――HANDSIGNとのコラボ曲のタイトルが「新時代」となっています。新しいプロジェクトにふさわしいタイトルだと感じましたが、輪入道さんにとって、ヒップホップの新時代とは?

輪入道:今のラップシーンって飽和状態に近い感じで、あらゆるタイプのラッパーが出てきてる。でも、もっと本当に「ラップを必要としている人たち」って、まだまだたくさんいる気がしていて、そういう人たちの入り口になればと思います。

――「本当にラップを必要としている人たち」とは?

輪入道:一概には言えませんが、子供には学校や部活とかにはない、喜びを感じたり、悔しい思いをしたりして成長できる外側の世界があるはず。でも、そんな機会に恵まれず、一歩すら踏み出せないやつらの助けになって、人間関係も劇的に広げられる。そんな存在にラップはなれると思いますね。

――「下の世代を育てなきゃ」という意識はありますか?

輪入道:「俺らが新世代だ、時代をつくる」みたいな突き上げ意識はなくなってきているかも知れないですね。「育てる」っていうのともちょっと違うかもしれませんが、上から踏み潰さないようにしたいです(笑)。

 周りからは「優しすぎる」って言われますが、ついこの間まであんなにチャラチャラして、ビクビクしていたやつがいきなり成り上がるみたいなことが、ヒップホップの世界では起こり得ると思っています。

輪入道さん

手話ラップは「当然、人生初のチャレンジ」。熱の籠もったステージに期待したい

――ラップの世界は新しい才能が出てくるのが早いですよね。

輪入道:「高校生ラップ選手権」ブーム以降、どんどん年齢が下がってきている感じがありますね。「暴道祭」に出てくれた千葉のラッパーがいるんですけど、彼なんか10歳。

 毎日朝6時半からお父さんと朝練して、キャラだけじゃなく実力もキッチリしています。今後そういうやつがもっと出てくるかと思うと楽しみです。

 あとはライブで地方に行くんですが、そこでイケてるやつらに会うことも増えてきました。俺が地元のクラブで手当たり次第、「フリースタイル聞いてください!」って絡んでいた頃とはだいぶサマ変わりしましたよ(笑)。

<取材・文/浅原浩 撮影/街田和由 撮影協力/モンゴリアンドランク ゴールデン街店>

【輪入道】
1990年、千葉県出身。2007年頃からラッパー活動を開始。’13年主宰レーベル「GARAGE MUSIC JAPAN」を立ち上げ、2枚のアルバム『片割れ』『左回りの時計』をリリース。2017年8月には「フリースタイルダンジョン」2代目モンスターとして出演も話題に。2018年6月に行われた自身の主催イベント「暴動祭」ライブDVDが8月22日発売予定

働きながら副業でライター。元老舗出版社勤務。メタルと文鳥が大好きです

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