伝説のサブカル誌が復活。50代編集長が「会社を辞めてまで」実らせた執念
誰もが気になる「非日常の空間」
そうした気になるものを集めてみると、あるものは説明が付き、あるものは謎のままだったり。ただ、共通しているのは、どれも日常からズレた建物や風景なので、非日常の空間=《異空間》というのは、多くの人が気になるものなんです。
説明が付けば、「腑に落ちる」ので気持ちがよいし、説明が付かなくても編集者と読者、あるいは読者同士で「不思議だよね」という共感が生まれます。
想像を掻き立てる不思議なものに興味を持つのは、決して自分だけじゃないと思ってます。それが「ワンダーJAPAN」であり、「ワンダーJAPON」なんです。
体力に限界を感じ、会社を辞める
50代も後半に突入、もうあと数年で定年退職なのに会社を飛び出す決断は、当然、奥さんからは大反対されました。
全国の書店が激減し、出版業界はかなり前から非常に厳しい状態が続いています。それでも、自分がいた会社は他社に比べるとまだヒットを出していたほうでした。よほどのことがない限り潰れそうにない会社を出て、数年間の安定収入を手放すのだから、たしかにバカげています。
でも、この歳で月刊誌をやるのはもう体力的に限界。落ちる一方の月刊誌の売上げを、付録を付けたり、別のムックや書籍を作って補うため、月刊誌以外にも絶えず、何か別の本を作る状態です。
慢性的な睡眠不足に加え、高血圧の薬を飲んでいるせいか、気絶するぐらいの睡魔にちょくちょく襲われる。冷却シートを貼りすぎて、おでこがかぶれたり。挙句の果てに、視界にギザギザの光が見え出した時は、「ついに脳がバグったか!?」と冷や汗がタラ〜リ。
後で調べたら、「閃輝暗点(せんきあんてん)」というもので、ストレスなどで脳の視覚野の血流に変化が生じて起こるもので、わりとよくあるらしいのですが……。