昼休みにシャツを買いに行くハメに

　武田さんのいうように、通勤電車の中で女性の化粧品が付いて困った経験があるビジネスマンは少なくないです。

　同じように赤っ恥を掻いたと語るのは、同じく鉄道混雑率ランキングで上位に入るJR埼京線（最高混雑率183%）で通勤しているメーカー勤務の小向拓人さん（仮名・29歳）。

「営業でスーツ通勤なので、女性物の化粧品が付くとクリーニングに出さなきゃいけないので、本当困るんですよ。1番最悪だったのは、女性の真っ赤な口紅がついていたこと。しかもそれがモロに唇の形ではっきりとキスマークが残っていたんですよ！　

　シャツの胸元だったので会社に着いた瞬間、女子社員に爆笑されましたよ。しかも、最悪なことにその日は取引先との接待の日。上司に『まさか、そんな格好で行くわけじゃないよな？』と言われて、慌てて昼休みにシャツを買いに行きました……」

御堂筋線はファーの装着率が異様に高い

　最後に「こんな物が付いて困った！」と語るのは関西の鉄道混雑率ランキングで見事ワースト1位になった大阪メトロ御堂筋線（最高混雑率147%）で通勤する、不動産会社勤務の篠田晴人さん（仮名・31歳）。

「関東では最近あまり見ないと思うんですが、この時期になると困るのはファーコートやファーマフラーの毛です。朝はサラリーマンやOLばかりなので付けてる人はいないのですが、問題は帰宅のとき。

　うちの会社は淀屋橋にあるんですが、御堂筋線には天王寺やなんばも通っているので、その辺から梅田に行こうとする女の子やおばちゃんのファーの装着率が異様に高いんです。梅田までたった1駅なのに黒のコートがグレーの毛まみれになったことも……。

　特に成人式で女子が付けるような白いフワフワのやつ。ショールっていうんですか？ 休日出勤のときにあの毛がビッシリ付いてしまい、待ち合わせしていた彼女に『うさぎでも抱いてきた!?』と言われました。

　あとはたまに飲酒しているおじさんも困りますね。こぼされても最悪だし、酒臭ささががスーツに付いても悲惨ですよ」

　なかなかコアなエピソードが聞けた関西の“痛勤ラッシュ”。最近では汚れが付きやすいウールコートはやめて、「出勤時はダウンコートを着用するようになった」と話す篠田さん。

　彼女には「コートのほうが良かった！」と言われるそうですが、ラッシュ時には見た目よりも機能を重視したほうが良いのかもしれません……。

― 特集・私の“痛勤ラッシュ”レポート ―

＜TEXT／結城　イラスト／カツオ（@TAMATAMA_GOLDEN）＞