シャープ、ZOZOは…?社員から見たM&Aの「残酷な現実」
信頼関係がゼロリセットされる恐怖
ZOZOは創業オーナーがヤフーグループ(現Zホールディングス)へ株式を売却しました。これまでは従業員全員が、創業オーナーの示す方向に一体感を持って仕事を進めていけばよかったはずです。
しかし、ヤフーグループ傘下となった後は、これまで組織のリード役を一手に担っていたオーナーが不在の中、グループの一員としての視点を持つことが求められるようになります。
シャープやZOZOの会社の従業員は、自分の会社が売却され、オーナーが変更し、経営方針が大転換するということは入社当初は想像がつかなかったことでしょう。これは、管理職の人間たちにとっては、これまで入社以来時間をかけて培ってきた、会社の風土に準じた働き方、会社(オーナー・経営層)との信頼関係がゼロリセットされるということになります。
これまでは知見や会社(オーナー・経営)との信頼関係が積みあがっている中で、管理職として比較的自由な立場で自分が信じる仕事をできていたことと思います。しかし、M&A後は、それらがすべて通じなくなってしまうのです。
売却された会社の管理職の人間は、いつ自分がどのようになるのかわからない、左遷されるかもしれないといった恐怖感も持ったはずです。
近年買収されるリスクが高まっている
私(小早川鳳明)は従業員数万人規模の会社のM&Aのプロジェクトマネジメントチーム、会社再建プロジェクトチームなど、会社が極限の状態におかれ、そこから会社が変容していく場面の最前線にいました。
近年は、従業員数百人以下の会社のM&Aが活発化し、その件数は増加傾向にあります。特に後継者不足を理由とした事業承継型のM&Aやサラリーマン個人が副収入を得る事を目的に極小企業を買収するM&Aが増加しています。