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2019年相次いだ「企業の不祥事」の裏側。レオパレスは早くも復活?

ビジネス

問題になった「壁がない」アパートは7%未満

 これに加え、自社でアパート建設を土地保有者に持ち掛け、建設も自社で行う「開発事業セグメント」が、今回問題となっている「壁がない」アパートの原因です。こちらは前期で売上の14%程度です。

 管理戸数も、全体では57万戸を管理しており問題発覚後も横ばいですが、今回問題となった「壁がない」自社施工物件で、全数検査対象になったものは3万9085戸と全体の6.8%程度です。ですので、レオパレスの名前が付いた57万戸全てで「壁がない」と大変なことですが、7%弱なら早く直してしまえばなんとか、というところかと考えます。

 入居者ですが、法人が55%、個人が35%、学生が10%という割合で、大きくは変わっていません(同社決算説明資料より)。この割合を考えると、法人の転勤需要だけでなく、個人や学生の取り込みのためにも、CMの再開が鍵になると思われます。

 法人の主な顧客層として、ホワイトカラーの転勤需要の他に、地方の製造業、建設業の住み込み需要などが挙げられます。ざっと計算したところ、製造派遣従事者が約30万人、自動車の期間工が約10万人、建設の臨時従業員が約5万人と、これだけで約45万人になります(数値は厚生労働省の「労働者派遣事業報告書」、自動車メーカーと自動車部品大手の有価証券報告書、国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」よりそれぞれ推定)。このうち半数が社宅として借り上げアパートを使っていると仮定すると、ここだけでもおよそ20万人以上の借り上げアパートの需要があるということがわかります。

「OYO LIFE」と提携解消したソフトバンク

OYO LIFE

※OYO LIFE公式サイトより

 この隙を突いたのか、ソフトバンクも、ソフトバンク・ビジョン・ファンドとインド発の格安ホテルチェーン「OYO LIFE」を運営するOYO Hotels&Homesで、合弁会社「OYO Hotels Japan合同会社」を設立。借り上げアパートの、レオパレスと全く同じ市場に殴り込みをかけていました。

 ……と思ったら、12月18日に「日本経済新聞」より、ヤフーが「OYO LIFE」との提携解消したとの報道がありました。こちらは「OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社」ですが、見切りの早さには驚きです。

 一方で、同じくOYOと3社で提携関係にあった、レオパレスを経費私的流用で追われた創業者が立ち上げた、株式会社MDIという会社ともソフトバンクは事業提携を行い、アパート物件の供給を行っていましたが、こちらも先行きは不透明になりましたね。これはどんな布石なのか、それとも、単にお金なくて儲からないからやめるのか。

 ここからは想像の世界ですが、レオパレスを10~15%も持っている投資ファンドは出口をどうするのでしょうか。業績が回復してから市場で売るというのももちろんありますが、レオパレスの全戸補修完了予定は2020年12月と開示されています。

 賃貸で最大の稼ぎ時の来年3月には間に合いませんので、来期もスタートから損益で非常に厳しい状況が続くことが予想されます。損益均衡点とされる入居率およそ80%も割った状態ですし、株価的にも厳しい状況となりそうです。となれば、誰かに売るという手がありますが、まさかOYO LIFEを捨てたソフトバンクが、レオパレス本体に……などと考えてみるのも面白そうですね。

<TEXT/たにやん(@t_taniyan)>

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