大学生バイトのありえない実態。映画館では犯罪行為も…
明らかな違法行為をするバイトも…
しかしこれらの所業は実害がないだけまだかわいいもので、なかには犯罪まがいの所業に手を染めるスタッフもいたそうで、柿本さんの在籍期間では2人がクビになっています。
「チケット売り場とグッズ売り場には会員カードにポイントを加算できる機械があり、これを悪用して知人のカードに大量のポイントを加算していたんです。こっそりやっていれば恐らく気づかなかったと思いますが、不自然なほど無料鑑賞が多くなっていたため発覚しました。
犯人捜しのため、機械の履歴を総ざらいすると、大学でイベント系のサークルに所属しているチャラ男スタッフの仕業でした。どうやら『俺と仲良くなればタダで映画観れるぜ』みたいなことを各所で吹いていたようで、問答無用でクビになりました」
もう一人がクビになった理由とは?
前売り券限定の特典グッズや、劇場用のポスターが倉庫からなくなることが多発。頭を抱えた柿本さんたちは倉庫に隠しカメラを設置し、中での様子をチェックすることに。
「設置して数日で犯人が判明しました。普段勤務態度が良くて評判だったスタッフが、シフトに入るたびに少しずつ持って帰っていたんです。どうやらお金に困っての犯行で、転売して小銭を稼いでいたみたいです。
今までの貢献を考慮した支配人の温情措置で警察沙汰にはせず、ひっそりと辞めていきました」
柿本さんの古巣の劇場は少し前に経費削減のため、人員整理が行われたそうです。アルバイトの人数が減り、ようやく規律が守られるようになってきているといいます。
「初っ端にハードな現場を経験できたおかげで、よっぽどのことでは動じなったのは、自分の武器の一つになっているかもしれません。怪我の功名ですね。ふと思うのは、当時バイトしていた彼らの今。とっくに社会人になっている年齢ですがちゃんと働いているのかな。気にはなりますが、会いたいとは思いませんね(笑)」
― 特集・職場のモンスター大学生 ―
<取材・文/蒲須坂正男 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>