30歳兼業漫画家が「非エリートサラリーマン」を描く理由
僕の漫画を楽しんで読めるのは、余裕のある人!?
――そもそも、この漫画の主題はチームワークではないですもんね。でも最近人気の『今どきの若いモンは』(古谷光平)とかは、わりとストレートにチームのすばらしさを描いてますよね。
橋本:主人公のおじさんがかっこいいんですよね。こんな人がいたらいいな、というファンタジーとしていいんでしょうね。ようやく最近気づいたんですけど、僕の漫画を読んで楽しめるのは、ちょっと余裕のある人なのかなという気がしてきたんですよね。本当にキツい状況にある人だと、自分の現実に近いものを漫画で読みたくないんじゃないかなって。
――僕は必ずしもそうは思わなくて、サレンダー橋本先生の漫画には『ふぞろいの林檎たち』のような山田太一作品に通じる何かが流れていると思うんです。成功体験のある勝者の目線とは真逆の、チョウチンアンコウみたいに海底を照らす目線というか。
橋本:そう言ってもらえると光栄ですね。
<TEXT/真実一郎>
【サレンダー橋本】
会社員、漫画家。1988年、神奈川県生まれ。著書に『恥をかくのが死ぬほど怖いんだ。』(小学館)、『働かざる者たち』(エブリスタ)がある。週刊SPA!にて『全員くたばれ!大学生』、ヤングチャンピオンにて『明日クビになりそう』を連載中