山田邦子、事務所独立騒動。その背景と、20代が知らない“スゴすぎ伝説”
レギュラー週14本、CM8社「唯一天下を取った女芸人」
特に1980~1990年代半ばにかけては女性MCとして絶大な人気を誇ったという。
「『オレたちひょうきん族』への出演をきっかけにして、山田さんの人気はさらに加速していきました。ピーク時には週14本のレギュラー番組を抱えていた上に、8社のCMに出演。映画やドラマにも出演していたし、CDや小説を出せば、軒並みベストセラーになっていました。
NHKの「好きなタレント」調査では8年連続で女性部門1位を獲得しました。本人の話によると、当時の月収は約1億円だったそうです。その圧倒的な実績から『唯一天下を取った女芸人』とも言われています」(ラリー氏、以下同)
看板番組から生まれた『それが大事』『愛は勝つ』
そんな山田邦子の看板番組と言えるのが、1989~1992年にフジテレビ系列局で放送された『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』だ。一体どんな番組だったのだろうか?
「トーク、コント、ものまね、音楽など、さまざまな企画を繰り広げる総合的なバラエティ番組でした。当時流行していた男芸人が中心の泥臭いコント番組とは違って、山田さんらしいおしゃれな笑いに満ちていた番組でした。山田さんの脇を固めた共演者は今見ても信じられないほど豪華な顔ぶれです。
明石家さんま、所ジョージ、関根勤、三上博史、今井美樹、織田裕二、柳葉敏郎、真木蔵人、高岡早紀、永井真理子、大江千里、西田ひかる、江口洋介……芸人、俳優、歌手などさまざまな分野の才能豊かなメンバーが集結していました。番組のテーマソングであるKANの『愛は勝つ』、大事MANブラザーズバンドの『それが大事』はいずれもミリオンセラーを記録しました」
なんと、『愛は勝つ』『それが大事』といった会社の上司とカラオケに行くと耳にする名曲も、山田邦子がいなければ存在しなかった……かもしれないのだ。
「また、山田自身も、オーディションで選ばれた横山知枝と一緒に当時人気だった女性アイドルデュオ・Winkのパロディユニット「やまだかつてないWink」を結成して、『さよならだけどさよならじゃない』などのヒット曲を世に送り出しました。番組の関連楽曲を収録したスイカ柄のCDアルバム『やまだかつてないCD』も大ヒットしました」
キャラクターが飽きられた? 人気低迷の原因は
それでは、なぜ山田邦子の人気は低迷してしまったのか? もちろん、芸能人の栄枯盛衰にはさまざまな要因が考えられるが、主な理由として語られているのは、1995年、写真週刊誌『FOCUS』で報じられたテレビプロデューサーとの不倫騒動だ。
当時未婚だった山田の自宅に、妻子ある男性プロデューサーがたびたび出入りしていたのだ。やがて他誌が続報を打ち、プロデューサーの妻、2人の娘を巻き込んでの「ドロ沼不倫」騒動と化すと、山田へのバッシングの声が一気に強まった。
近年のベッキー不倫騒動を例に出すまでもなく、もともと高い好感度をウリにしていた人物は、裏の顔がひとたび明らかになると、世間から厳しい声を浴びることになる。しかし、ラリー氏は、この不倫以外にも考えられる人気低迷の原因があるという。
「テレビタレントは、時代の移り変わりに合わせて自分のキャラクターをマイナーチェンジしていく必要があります。また、年齢を重ねることで、世間から求められるものも少しずつ変わっていきます。山田邦子さんは良くも悪くもキャラクターが若い頃からずっと変わっていないようなところがあるため、それが時代の空気や自分の年齢に合わなくなってきたのかもしれません」