菅内閣で「働き方」はどう変わるか。正社員の特権は減っていく
9月16日に菅義偉内閣が始まりました。「労働関係がかなり動いた安倍政権の次としてどうなるのか?」ということについては、決して他人事ではないでしょう。そこで、今回は「菅内閣となって、働き方はどう変わるのか」というテーマでご説明します。
申し遅れましたが、私は株式会社人材ビジネス経営研究所の山内(やまのうち)栄人と申します。人材ビジネス、労働に関する研究、コンサルティングを行っています。
菅内閣について結論から先にお伝えすると、若手会社員の皆さんにとっては良い話が多くなり、中高年以上のサラリーマンには厳しい状況となる可能性が高いかもしれません。
アベノミクスを継承する菅内閣
今回は、内閣総理大臣である菅氏はもちろんとして、厚生労働大臣に再任された田村憲久氏の2名を軸に考えていきます。まず菅総理に関してですが、総裁選の時点で「アベノミクスを継承する」という立場に身を置き、圧倒的多数で選ばれています。
アベノミクスの中で働く人や会社に大きく影響を与えたものが「働き方改革」ですよね。記憶から消えている人も多いと思いますので、少しおさらいしますと……。
【主な働き方改革】
・長時間労働の上限が明確に規制
・年次有給休暇に5日間以上の使用義務が追加
・同一労働同一賃金の施行
・最低賃金が大幅に上昇
この他にも細かい点はたくさんありますが、見たら分かるように「労働者にとって良い話」ばかりです。
働き方改革でも残された課題
これはアメとムチで言えばアメの部分であり、ムチもあってバランスがとれる話であるべきです。しかし、「ムチは後から」が現状で、まだ可決もしていません。
【働き方改革の課題】
・解雇の金銭解決
・裁量労働制の対象拡大
・副業の法令整備
などなど手付かずの議題が多数あります。
安倍内閣に関する評価は様々ですが、すごい改革を行ったと感じています。
日本では、未婚率のアップや少子化の問題と同時に、非正規の問題が取り上げられる機会が多いです。テレビや新聞などでは「小泉内閣時代に竹中平蔵氏と共に構造改革という名の規制緩和を行い、派遣社員が増えたから非正規が増えたのが問題」などと語られるわけですが、全くもって間違いだと筆者は主張します。