bizSPA!フレッシュ

教員はみんな死んだ目…N高「労働問題」泥沼状態の現状とは

ビジネス

私学教員ユニオン

社会全体を巻き込んだ運動にしたい

 今回取材を受けた3人が加盟している「私学教員ユニオン」とは、総合サポートユニオン(労働組合)の私学教員支部として2018年に設立された。私立小・中・高校で働いている教員であれば1人からでも加盟できる。これまでに100件を超える団体交渉に携わってきた代表の佐藤学氏は、こう付け加えた。

「N高は日本一の生徒数2万人を誇る学校なので、社会への影響力があります。いま、文科省がギガスクール構想と言ってICT教育を現場に普及しようと考えているため、N高がやっていることが今後の日本社会の教育現場でも起こりうる問題点となるわけです。そういった問題点を世の中と共有することで、教員や生徒・保護者を含めて『こういうやり方はおかしい。改善しなければいけない』となるような、社会全体を巻き込んだ運動にしたいと思っています」

 第3回目の団体交渉となった2022年2月25日の内容について佐藤学氏に追加で話を聞いたところ、下記のような回答があった。

「私学教員ユニオンはA氏の雇止めについて話し合ったが、学校側からは納得のいく雇い止め理由の説明はなく、議論が平行線で終わってしまった。学校側は、A氏が担任や授業など正規雇用教員と同じ仕事をしていたことを認める一方、A氏のような非正規雇用で働く教員を雇い止めにすることが生徒・保護者に与える影響については、『言うほどの影響はない』と回答した。通信制高校は、学校をさまざまな理由から不登校になり『手厚いケア』が必要な生徒が多い現実があるが、担任や授業という基幹的業務を担う教員が代わるのは、保護者含めて大きな影響があることだろう

 3名の活動が、働きやすい職場環境が実現されることを願うばかりだ。

<TEXT/山内良子>

フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

おすすめ記事