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教員はみんな死んだ目…N高「労働問題」泥沼状態の現状とは

ビジネス

突然の契約解除

 予定されていた第2回目の団体交渉が実施されたのは、本年2022年1月23日。この日は、第1回目に問題となった休憩が取得できないといった争点に加え、非正規雇用であるA氏に対する雇用更新の有無が大きな争点となった。A氏いわく「私が知る限りでは、ほとんどの学校は契約更新の有無をも11月頃までには告知してくれる」と言う。しかしN高は「法律にのっとって、2月下旬に告知します」の一点張り。

「雇用の更新を告知するタイミングは、1か月前までにおこなえばいいと法律では決まっています。でも教職員の募集のピークは夏頃。なので、更新の1か月前である2月下旬に雇止めということになれば、3月から仕事を探しても教員の仕事を見つけることは困難です。仮に求人があったとしても、人不足になっている労働条件のよくない学校しか残っていないことが多いです。

 たとえば私が正社員になれない理由について、『チャレンジ精神がないから』と曖昧な回答があったり、終礼を妨害したなど事実無根の回答があったりして憤慨しています。休憩や思い通りに休日が取れないことについて話し合いがしたいと思い、会社でいうところの課長にあたる上長に相談したこともありました」

 結局、第2回目の交渉についても大きな進展はないまま終了している(残念ながら取材後、A氏の雇止めが正式に決定)。

繁忙期にも無理なく働けるような労働環境に

私学教員ユニオン

「まずはNに、問題をすり替えずに私たち教員の問題点と向き合ってほしいと思います。そして、今後の繁忙期にも無理なく働けるような労働環境に改善したいです」(B氏)

「教育現場ではタイムカードのない学校も多く、休憩や残業が不透明になりがちです。そのうえ、1人の先生が授業を教えてテストの採点をし、部活も教えるという忙しさ。教員を目指す人も減っている環境下で、これから大人になる生徒が育っていくという悪循環を懸念しています。悪循環を断ち切り、生徒や保護者に胸を張れるクリーンな職場にしたいです」(A氏)

 そして、「N高は退職したが、教員になる夢を諦めたわけではない」と語るC氏は、次のように願って活動を続けている。

「日本の社会を支えていく生徒たちが『教員って大変そう』とか『ブラックな仕事』だと感じれば、教員を目指す人が減って教育の質も悪くなり、将来の日本の未来にもかかわるのではないかと心配です。生徒数がいちばんであるN高の働き方が改善され、教育現場全体の働き方もよくなることが、日本の未来にもよい影響を与えると考えています」

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