3貫110円“シャリだけ寿司”の新戦略は?あの回転寿司チェーンが本気出した! | bizSPA!フレッシュ

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3貫110円“シャリだけ寿司”の新戦略は?あの回転寿司チェーンが本気出した!

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 寿司を食べるとき、みなさんはどこに注目するだろうか? ネタ、醤油、海苔、わさび……もちろん、どれも重要だが、「寿司のうまさはシャリで決まる」と言っても過言ではないほど、寿司にとって命そのものなのがシャリだ。

かっぱ寿司

かっぱ寿司の本気シャリ

 コロナ禍で外食産業のあり方が変化し、各社の競争が加速している回転寿司業界。そんななか、回転寿司チェーン大手のかっぱ寿司が、「回転寿司屋から寿司屋の品質」を掲げ、新戦略を打ち出している。

 わさびや醤油、海苔などの品質をイチから見直したそうだが、なかでも気になるのが、シャリの全面的なリニューアル。自他ともに認める回転寿司マニアの記者だが、そもそもネタが何ものっていないシャリだけの状態で食べること自体、未知の体験。さらに驚いたのは、シャリだけを3貫110円(税込)で販売しているという。

 カッパ・クリエイト株式会社取締役 商品マーケティング本部長の牛尾 好智氏に、シャリにかける“熱すぎる”思いと、掲げている「うまい!品質宣言」の真意について聞いた。

業界初、単一「ブランド米」をシャリに使用

 回転寿司業界の常識では、銘柄や産地、収穫時期が異なる米を混ぜた「ブレンド米」を使用するのが一般的だった。そんな業界の常識を打ち破り、かっぱ寿司が新たにシャリに採用したのは山形県産「はえぬき」だ

かっぱ寿司

カッパ・クリエイト株式会社の牛尾好智氏

 なぜ「ブレンド米」から「ブランド米」への採用を決めたのか? そう聞くと、「回転寿司屋からの脱却を図る狙いがあります。コロナ禍での店舗休業や時短営業を強いられる苦境のなか、かっぱ寿司は「昨年12月から“原業回帰”のために仕込みを行ってきた」(牛尾氏)と語る。

「原点回帰ではなく、“原業”という言葉を選んだのは、“原点”だと回転寿司ならではの『安く、手軽に食べられること』にフォーカスされてしまうから。特にかっぱ寿司は“安かろう、悪かろう”という古いイメージがまだ残っている。そうではなく、カウンター越しに寿司を握る職人が立つお店のような、寿司屋本来のうまさを提供したいという思いがありました」

 さらに数あるブランド米の中で、いったいなぜ、はえぬきを選んだのか?

「はえぬきの持つハリや粒感の強さ、口の中でホロホロとほどける食感。まさに寿司ネタの味や特徴を引き出すのにぴったりなお米だと思います。米の特性や知識に長けた五ツ星お米マイスターの西島豊造さんにも『はえぬきを使用した新しいシャリは、老若男女問わず幅広い世代に支持され、“もう一貫、もう一皿”と注目したくなる』との言葉も頂戴しました。また5月28日に実施した記者発表会では、寿司の銘店の大将からも『酒を提供するウチなら塩味をもっと強くするけど、ファミリーがターゲットなら、酢合わせもとてもいいバランスになっている』というお墨付きをもらいました。シャリを変えるだけで、こんなにも違うのかというのをぜひ実感いただきたいです」(牛尾氏)

>>「本気シャリ」の秘密とは?

シャリだけ3貫110円を販売。味には自信がある

かっぱ寿司

 だが、ちょっと待ってほしい。シャリが変わったことを伝えるなら、宣伝広告やサンプリングなど、いくらでも手段があったはず。なぜネタがなにものっていないシャリを商品化したのか

シャリだけを売ることに対しては、社内から反発もありました。でも、最近のコンビニには普通に“塩むすび”が売られていますよね。なぜかと言えば、お米に自信を持っているからだと思うんです。シャリについても同様に、そのまま食べて『うまい!』と感じてもらえる品質だということを、素直にお客様へ伝える必要がありました」

 なるほど。「本気シャリ」と命名された背景には、並々ならぬ自信があったのだ。

「当初、自信がありすぎてシャリだけの寿司を2貫110円で売ろうとしたけど、それは止められました(笑)。結果、3貫110円での販売になりましたが、小さなお子様がネタの乗らないシャリのみをご注文いただくなど売れ行きも好調で、ご好評をいただいています」

「口どけ」に驚き。本気シャリを食べてみた

 試しに筆者も、本気シャリをいただいてみた。まずは見た目から味わってみよう。あまりにシンプルすぎるフォルムが目に飛び込んでくる。

かっぱ寿司

かっぱ寿司が販売する「本気シャリ」3貫110円(税込)

 今までのシャリとの違いも、そこまではっきりとはわからず不安を感じたが、お箸で持ち上げたときにまず驚き。「はえぬき」が持つ粘り強さでひと粒、ひと粒がしっかりしていて形崩れしない。粒が大きい分、シャリの中に空気が入りほろほろと口の中でほぐれる。まさに絶品のシャリに仕上がっている。

 そして、いざ口に運んでみると……またもや、びっくり! 少し塩気の立った味や、ホロホロと口どけが良く、ブランド米のシャリは食感が抜群だった。ネタも乗ってはなく、醤油すらつけていなくても、米のほのかな甘味と適度な弾力が感じられるのだ

 そのままでも、醤油につけて食べても美味しくいただけそうな、なんとも斬新な一皿だった。

>>まだまだある!かっぱ寿司が明かす「本気シャリ」の秘密

寿司屋本来の“うまさ”を目指す

 実は、その原業回帰の中心に据える考えこそが、今回の「シャリの改革」だったわけだ。

かっぱ寿司

「『シャリを変えました』って一言でも言えますが、寿司のうまさを追い求める姿勢や熱意がしっかりと伝わるよう、各界のプロフェッショナルを巻き込みながらシャリの根幹から変えていきました。店舗オペレーションにも改良を加え、世の中がフルオートメーション化するのと逆行するように機械釜を撤廃し、シャリを炊飯するためのガス釜を導入しました」

>>「本気シャリ」を生み出したかっぱ寿司の“本気ぶり”

アナログ感がシャリのうまさを引き出す

 もちろん、このシャリは実際に発売されている寿司ネタにも使用されている。なかでもおすすめなのが、日本一の鮪専門仲卸「やま幸」が目利きした「やま幸の天然本鮪」。

かっぱ寿司

「やま幸の天然本鮪」(330円)(税込)※現在は販売しておりません

 さらに、頭を提供前に炙ることで、海老の香ばしい風味を楽しめる「天然特大ぼたん海老」。どちらも期間限定(※)で販売中だ。生まれ変わったシャリと合わせて、ぜひ味わってみてほしい。

かっぱ寿司

「天然特大ぼたん海老」(330円)(税込)

 シャリにこだわっているのはよくわかった。しかし、かっぱ寿司では、それだけでなく、ほかにも新たな回転寿司の楽しみ方を生み出している。

「回転寿司ならではの寿司を楽しく食べてもらいたいという想いから、進化版テイクアウトとして、『出張回転寿司サービス』の提供をしています。お寿司だけでなく、寿司職人とレーンが出張します。回転レーンのレンタルがかなう『レンタル回転レーン』を店舗限定で開始したところ、既に7月まで土日は予約が埋まる店舗も出てくるほど、ご好評いただいています」

 どちらも、ホームパーティやおもてなしで喜ばれそうなサービスだ。かっぱ寿司らしさを体現すべく、今後もさまざまな取り組みを行っていくという。

「目指すは商品名と写真だけで『うまい』『食べたい』と思ってもらえること。回転寿司業界はデジタル化が進むなか、お客様との接点がなくなってきており、魅力を伝えづらくなっています。キャッチーなコピーや、奇をてらった広告なども重要ですが、無駄なものは削ぎ落とし、シンプルでストレートな伝え方でかっぱ寿司の価値を知ってもらいたい。『うまい! 品質宣言』をした以上、これからも間髪入れずに、さまざまな取り組みを行ない、寿司屋品質の「うまい!かっぱ寿司」を突き詰めていきたいと思います」

「かっぱ寿司って、やっぱりうまい!」と言いたくなるほどの本気のシャリ。かっぱ寿司の全寿司ネタに使われている。そのうまさをぜひ体感してほしい。

>>かっぱ寿司の「本気シャリ」を食べてみたい!

<取材・文/古田島大介 撮影/市村円香 提供/カッパ・クリエイト>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

※「やま幸の天然本鮪」はなくなり次第終了、「天然特大ぼたん海老」は7月4日まで販売

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