bizSPA!フレッシュ

学生起業家がP&Gを経て再び起業した理由「ザ・サラリーマンにはなりたくなかった」

ビジネス

結果的に自分のペースに持ち込んでいく

――年上だらけのプロジェクトで、剱持さんはどのように推進していったのですか。

釼持:まず、それぞれが専門性の高いスタッフであることを認識しました。営業やファイナンスに、マーケッターの僕と、それぞれ自分のエキスパートを持っているわけです。私はマーケティングを通じて、商品の売れる方法を知っているわけですから、ブランドの売上を伸ばすために、社内の関係者からのどんな質問にも答えられるようにあらゆる努力をし、絶対にぶれない軸、戦略を持ち、常に一貫した行動を行うようにしてきました。

 それからコミュニケーション能力。自分の確固たる主張を持つのはいいですが、自分を持ち続けるのは頑固というものです。そのため、相手に気持ちよく仕事をしてもらうために、伝え方を工夫しました。

 例えば僕から見て「イケていないなぁ」というプランが出されたときに、否定せずに、いったん受け取ってから「結果としてこの点が足りないのではないか」「このように修正すると、もっと良くなるのではないか」と相手のモチベーションが失せないように、相手の経験を理解して、その上でその方の意見に自分の意思を反映して伝え、結果的に自分のペースに持ち込んでいくような話し方を心がけるようになりました。

 人が何かの意見を言うときには、その人なりの考えや状況があるはずなので、最初からシャットダウンをせずにまず理解することを心掛けました。常に周囲の意見や考えを参考にプランをブラッシュアップしていきました。

頑張る人が頑張れる世界を作る

起業家

自社の健康食品を紹介する釼持さん

――なるほど。

釼持:おかげさまでP&Gでは担当ブランドを全てNo.1にするということができ、目標としていたアワードも2年連続で獲得できた。キリがいいタイミングだと思い、学生ベンチャーでシンガポールの会社を売却した時にプールしていた500万円を資本金に、2018年に日本に帰国し、SAICOOL株式会社を立ち上げました。

――起業した会社の概要と、今後のビジョンを教えてください。

釼持:コストよりも、ひとつひとつに丹精込めてものづくりをしている中小企業や、個人事業主のこだわりを貫く姿勢がとても素敵です。でもこだわりを持ってものを作っている人たちは、今の日本ではなかなか評価されていない。だからちゃんと評価されるような環境を作り、それが社会のためになる仕組みを作りたいです。

 会社としてのビジョンは「頑張る人が頑張れる世界を作ろう。みんなが好きなことを活き活きとできる世界を作ろう。」です。柱は2つ。頑張る人の健康を支えるフィットネスメディアである「MYREVO」と、メディア運営を行う中で発掘した素晴らしい技術を活かしたブランド事業「Tesserage」「REAT」です。

 前者は現在50人以上の専門家の方々とパートナーを組んでリサーチを行いながら作り上げているメディアで、数百万PVを上げています。メディア事業・ブランド事業もお陰様で軌道に乗り始め、今後も頑張る人が頑張れる世界を作るというビジョンに向けて全力を尽くしていきます。

<取材・文・撮影/夏目かをる>

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。『週刊朝日』『日刊ゲンダイ』「DANRO」「現代ビジネス」などで執筆。Twitterは@kaworummoonrive