公的職業訓練(ハロートレーニング)を活用して給付制限中でも雇用保険を受給する方法

公的職業訓練(ハロートレーニング)を活用すれば、 新たな技能を習得できるため、再就職の選択肢の幅を広げるだけでなく、雇用保険の給付制限中や受給期間が終わった後でも基本手当を受給できる場合があります。

ハロートレーニングは、大きく分けて以下の4種類あります。

  • 公共職業訓練
  • 求職者支援訓練
  • 在職者訓練
  • 学卒者訓練
  • 障害者訓練

中でも公的職業訓練(ハロートレーニング)は活用次第で、雇用保険の基本手当を最大限に受け取ることも可能です。

この記事では公共職業訓練と求職者支援訓練について詳しく解説するだけでなく、最後まで読むことで失業中のお金の不安も解消されます。

この記事を最後まで読んでほしい人
  • 退職しよう(退職届をこれから出そう)と考えている
  • 雇用保険を受給していて、受給期間が終わりそうな
  • 雇用保険の給付制限中であり、できるだけ早くお金が必要
  • 求職しながら手に職をつけつつ、お金が欲しい

上記に該当する人であれば是非、最後までご覧になってみてください。

目次

雇用保険とは?受給資格があれば支給される基本手当について

雇用保険は、強制保険制度なので就職している人であれば必ず加入しています。毎月の給料から雇用保険料が天引きされています。給与明細書には雇用保険料と記載されています。

~雇用保険とは~
1.労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に、生活及び雇用の安定と就職の促進のために失業等給付を支給
2.失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るためのニ事業を実施

引用元:厚生労働省 雇用保険制度の概要 より

雇用保険の受給資格があるかを確認しよう

雇用保険の受給には一定期間、雇用保険に加入していることが大前提となります。

雇用保険を受給するためには、以下に該当していることが条件です。

  • 雇用保険に加入していること
  • 雇用保険に加入して1年以上経っていること
  • 会社都合で退職した場合など「特別受給資格者」の場合
  • 再就職の意思があり、求職活動をおこなう人

今の仕事を辞めようと考えている人であれば、自分が雇用保険を受給できるのかを事前に確認しておく必要があります。

例えばあと一ヶ月で雇用保険加入から1年が経ち、雇用保険の受給資格が取得できる場合、よほどの事情が無い限り退職時期を先送りすることを検討したほうがよいでしょう。

雇用保険は失業保険と別物と考える人もいますが、正式には失業保険ではなく雇用保険と呼ばれています。

つまり、失業保険は雇用保険と考えてもらえばよいということです。

雇用保険の基本手当について

雇用保険を利用すれば求職中に基本手当が支給されるため、生活費として利用が可能です。

雇用保険の基本手当を受け取るためには、自分が住んでいる地域のハローワークに行き説明会の受講や手続き、就職活動をおこなう必要があります。

参照元:雇用保険手続きのご案内 – ハローワーク インターネットサービス

雇用保険の基本手当が受給できる期間や、給付が始まるまでの期間は年齢や勤務年数、離職(退職)理由によって異なります。

病気や怪我など身体上の問題がなければ、早く再就職するべきだと思われがちですが、そうではなく、雇用保険を最大限に利用して自分が納得する再就職をするべきです。

基本手当の受取額は、離職前の6ヶ月分の給与から計算されます。

参照元:基本手当について – ハローワークインターネットサービス

雇用保険の基本手当は給付制限(待期期間)があるとすぐに受給できない

会社を自己都合で辞めた場合、すぐに基本手当は受給できません。

いつから受給できるかは給付制限(待期期間)が存在するため、雇用保険受給資格者証を確認する必要があります。

例えば、以下写真の雇用保険受給資格者証には、給付制限が3ヶ月と書かれています。

雇用保険受給資格者証には給付制限に「3ヶ月」と書かれています。

給付制限(待期期間)が3ヶ月とある場合、会社を辞めてから3ヵ月間は基本手当を受給できません。

解雇されたなど会社都合でなければ、離職の大半は自己都合になるため、3ヶ月の給付制限がかかることがほとんどです。

給付制限の日数が経つのを待てず、雇用保険を受給する前に再就職する人もいます。

実は給付制限期間中でも公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)を活用して、雇用保険の基本手当を前倒しで受給することができます。

公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)を利用することで給付制限を解除して雇用保険の基本手当を受給する

雇用保険の給付制限がある場合でも、公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)を利用することで、前倒しで雇用保険の受給資格を得ることが可能です。

本来であれば給付制限があるため、90日間は基本手当が受給できませんが公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)を受講することで雇用保険の給付制限を解除して基本手当を受給することができます。

訓練開始日によりますが、最短で翌月から手当を受給できる場合もあります。

公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)で雇用保険の受給期間を延長が可能

公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)の訓練期間が基本手当の受給期間を超える場合は、受給期間が延長されます。

例えば、基本手当の受給期間が3ヶ月の場合、受給期間が切れる前のタイミングで公共職業訓練や求職者支援訓練(ハロートレーニング)を受講します。

受講することで基本手当の受給期間が3ヶ月延長されて6ヵ月間、雇用保険の基本手当を受給することができます。

ただし、受給期間を延長できるかは雇用保険を受給できる残日数次第になりますが、雇用保険の残日数があれば受給期間の延長は可能です。

この仕組みを上手に使えば、手に職をつけながらお金をもらうことができます

雇用保険の残日数については、基本手当の受給がスタートした時点でハロートレーニングの相談窓口に相談しましょう。

受給期間内で再就職できないリスクを考えて公共職業訓練等、視野に入れておくとよいでしょう。

特定受給資格者や特定理由離職者であれば、給付制限は解除される

特定受給資格者や特定理由離職者であれば、給付制限は解除されて待機期間が7日間となります。

ただし、特定受給資格者や特定理由離職者に該当するにはいくつかの条件があるため、誰でも対象となるわけではありません。

特定受給資格者や特定理由離職者に該当する人

・会社が倒産し失業した場合
・解雇され、失業した場合
・契約社員などで契約を更新されなかった場合
・体調不良や出産、結婚、家族の介護等が理由で離職した場合など

引用元:ハローワーク 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

雇用保険の受給期間を延長してもらうには、受給期間内に公共職業訓練や求職者支援訓練を受ける方法が確実でしょう。

公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)とは?

公共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)とは、雇用保険(失業保険)を受給している求職者がスキルアップを図りつつ、受講手当が受け取れる公的制度です。

かつて公的職業訓練(ハロートレーニング)は、職業訓練と呼ばれていたため、聞き覚えのある人も多いかもしれません。

自分が技術習得したい訓練科目の有無は、厚生労働省のハロートレーニングコース情報検索で調べてみましょう。

公共職業訓練は技術系のカリキュラムが中心となる

公共職業訓練を受講できる人は、雇用保険の受給資格のある人が受講します。

受講できる科目は公共職業訓練の場合、生産や加工技術など技術系のカリキュラムが中心です。

公共職業訓練 短期課程一覧(東京都)

機械関係 短期(授業料等無料)

科目名期間対象
若年者就業支援科(溶接コース)1年30歳未満
板金溶接科6か月一般向け
溶接科6か月一般向け
三次元CAD科6か月一般向け
プラスチック加工科6か月一般向け
デジタルクラフト科6か月一般向け

建築・造園関係 短期(授業料等無料)

科目名期間対象
住宅内外装仕上科6か月一般向け
内装施工科6か月一般向け
マンション改修施工科6か月一般向け
住宅リフォーム科6か月一般向け
グリーンエクステリア科6か月一般向け
造園土木施工科6か月一般向け
配管科6か月一般向け
建築設備施工科6か月一般向け
建築CAD科6か月一般向け

電気関係 短期(授業料等無料)

科目名期間対象
電気・通信工事科6か月一般向け
セキュリティサービス科6か月一般向け
ネットワーク施工科6か月一般向け
電気設備管理科(一般)6か月一般向け

塗装・印刷関係 短期(授業料等無料)

科目名期間対象
若年者就業支援科(塗装コース)1年30歳未満
若年者就業支援(建築塗装コース)1年30歳未満
DTP科6か月一般向け
グラフィック印刷科6か月一般向け
メディアプロモーション科6か月一般向け

介護関係 短期(授業料等無料)

科目名期間対象
介護サービス科6か月一般向け
福祉用具科6か月一般向け
介護福祉用具科6か月一般向け

その他 短期(授業料等無料)

科目名期間対象
調理科6か月一般向け
ビルクリーニング管理科6か月一般向け
エンジニア基礎養成科4か月30歳未満
ジョブセレクト科2か月30歳未満
電気制御基礎養成科4か月30歳未満

引用元:東京都 TOKYOはたらくネット

公共職業訓練は雇用保険の受給資格があるので、給付日数がある場合は訓練期間中も基本手当が延長給付されます。

求職者支援訓練を受講できる人

雇用保険の受給資格のない人が受講できるのが、求職者支援訓練です。

求職者支援訓練で受講できる科目はITや医療事務、介護などオフィス系のカリキュラムが中心となります。

求職者支援訓練 基本コース・実践コース一覧(東京都)

基礎コース

  • パソコンスキル基礎科
  • 初心者からOK ビジネスパソコン基礎科
  • 初歩からできるビジネスパソコン基礎科
  • パソコンスキル基礎科(新橋)

実践コース

  • ゲーム・アプリ・Webクリエーター養成(夜)科
  • アプリ・WEB・システムエンジニア養成(午後)科
  • ネットワークセキュリティスキル習得科
  • アロマ・コスメアドバイザー養成科
  • パソコン・経理・総務・表計算VBA実務科
  • 不動産ビジネススキル養成科
  • グラフィックデザイン(午前)科
  • グラフィックデザイン(午後)科
  • 初心者からOK Webデザイナー・ディレクター・マーケティング養成科
  • ウェブデザイン・ウェブマーケティング担当科
  • これからはじめる Webデザイン ・ ディレクション科
  • ネイルサロン就職養成(B教室)科
  • ビジネスパソコン応用科(短期間・短時間)
  • 介護職員初任者研修課程科(短期間・短時間)

引用元:厚生労働省 東京労働局

求職者支援訓練は雇用保険の受給資格が無いので、訓練期間中の給付はありません。

公共職業訓練と求職者支援訓練にかかる費用について

公共職業訓練と求職者支援訓練は基本として入学金、授業料は無料です。

ただしテキスト代が必要となる場合や、長期間コースでは有料となる場合があります。

雇用保険の受給資格がない人は求職者支援訓練を利用しよう

雇用保険の受給資格がない人や、雇用保険の給付日数を超えて手当の支給が終わった人でも、求職者支援訓練を受けることができます。

求職者支援制度を利用できる人は下記いずれかの条件を満たし、就職する意思と支援を希望する人です。

求職者支援制度を利用できる人
  • 雇用保険の受給資格がない方
  • 雇用保険の受給期間が過ぎてしまった方
  • 自営業で廃業した方
  • 学校卒業後、未就職の方

公共職業訓練、求職者支援訓練を利用する前に知っておくべきこと

公共職業訓練、求職者支援訓練の訓練期間はコースによって異なりますが、最短でも2ヶ月間の訓練期間が設けられています。

他にも公共職業訓練、求職者支援訓練のコースは時期によって募集しているコースやカリキュラム、訓練施設が異なります。

希望するコースやカリキュラムが募集の有無、通いやすい訓練校や施設で実施されているのも確認が必要です。

職業訓練の受講内容は、各都道府県のホームページで確認してください。

参照元:職業訓練のご案内 – 大阪府

公共職業訓練、求職者支援訓練の受講申し込みから訓練開始までの流れ

公共職業訓練、求職者支援訓練の訓練を受けるには、数ヶ月前に締め切られる受講申込に間に合わせる必要があります。

例えば、4月開講の場合であれば募集期間が3~4ヶ月前となるため、早い段階から申し込みの準備が必要となります。

申し込みのタイミングを逃すと、次回の開校時期まで待たなければなりません。

公共職業訓練、求職者支援訓練の訓練を受ける場合は、事前にハローワークの職業相談窓口で相談して受講スケジュールを確認しましょう。

公共職業訓練、求職者支援訓練を受けるまでの流れ

STEP
職業相談&申込
STEP
事前説明会
STEP
選考試験
STEP
選考結果の通知
STEP
訓練開始

参照元:ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練) – 厚生労働省

公共職業訓練、求職者支援訓練を受けるためには試験と面接がある

公共職業訓練、求職者支援訓練を受講するためには、選考試験を受けて合格しなければなりません

選考試験は筆記試験と面談となり、筆記試験は受講するコースによって異なります。

面談では訓練を受ける理由や、訓練を通して得たいスキルについて聞かれます。

訓練生の中には雇用保険の受給期間を延長する目的で受講する人や、やる気が感じられない人も一定数いるため、再就職の意思なども面接で確認します。

職業訓練受講給付金は出席しなければ受給できない

訓練期間中は土日祝日を除き、全ての授業と訓練に出席しなければ基本手当である、職業訓練受講給付金が受給できません。

職業訓練受講給付金を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

・本人収入が月8万円以下
・世帯全体の収入が月25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・全ての訓練実施日に出席している(支給単位期間ごとに8割以上)
・世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない

引用元:厚生労働省 職業訓練受講給付金について

公共職業訓練受講者の給付要件や給付額は、受講するコースによって異なります。

求職者支援訓練受講者の場合は一定の要件を満たせば、最高で月額10万円の職業訓練受講手当と通所手当の受け取りが可能です。

公共職業訓練受講者の場合、通所手当(交通費)と受講手当の給付は翌月の基本手当に加算されて給付されます。

求職者支援制度の場合、自動的に通所手当(交通費)と受講手当は給付されないため別途、職業訓練受講給付金の申請が必要です。

他にも公共職業訓練、求職者支援訓練中はアルバイトも許されていますが、働く時間に制限があります。

公共職業訓練、求職者支援訓練中はアルバイトも可能だが働く時間に制限がある

公共職業訓練、求職者支援訓練中でもアルバイトは禁止されていませんが、以下のような働く日数や時間に制限があります。

  • 1週間の労働時間が20時間以上超えないこと
  • 週4日以上、働かないこと

つまり、上記に該当した場合は就職したと判断され、雇用保険の加入対象者としてみなされるということです。

厚生労働省 Q&A にも雇用保険と就労に関して記載されています

アルバイトをしているのですが、雇用保険(基本手当)を受給することはできるのでしょうか。

雇用保険(基本手当)の受給資格決定時に、次のいずれかに該当する期間中である場合は、実際に仕事をしていない日も含めて「就職」している期間とされますので、雇用保険(基本手当)を受給することはできません。

1.雇用保険の被保険者となっている期間(原則週の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みがあるもの)
2.契約期間が7日以上の雇用契約において週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合は、その契約に基づいて就労が継続している期間

引用元:厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)

就職していると判断された場合、職業訓練だけでなく雇用保険の受給期間も終了します。

では、公共職業訓練を受けた受給者であるKさんのインタビューを紹介しましょう。

公共職業訓練受給者インタビュー

Kさんは、公共職業訓練を受けた後、ホームページなどのWEB制作会社に就職しました。公共職業訓練のことだけでなく、雇用保険を受給した時の話も伺いました。

今回、雇用保険は初めて受給しましたか?

今の仕事に就く前に初めて使いました。転職は2回目ですが、1回目の時は使いませんでした。有給消化分が60日分ほどあったのと、次の職場が決まっていたから。あと雇用保険は使わないほうが良いよと言われたからですね。

雇用保険を使わない方が良いと言われたんですか?それはどういう意味で?

職場のおばちゃんに言われて深く意味は考えてなかったんですよ。実際は利用しても、何ら問題がないことを前回知りました。でも、給付制限が90日あったはずなのと、有給消化したタイミングで次の職場に就職する話だったので雇用保険を使えなかったんですよね。

使わない方が良いというより「雇用保険を使うくらいなら、早く次の仕事を見つけなさい!」といった意味だったかもしれませんね。ところで前回、雇用保険を利用した時に給付制限はなかったのですか?

自己都合の退職ではなかったので、給付制限はなかったです。前職は保険外交員で契約社員の形態で働いていましたので、退職理由が会社都合でもなく、自己都合でもなかったので「その他」という扱いでした。

契約社員と言いましたが、期間での契約ではなく、月のノルマがあって、達成できなかったからクビになる契約でした。ノルマが達成できず、クビになったのですが、何故か退職理由が「その他」という扱いで、かつ会社都合と同様に給付制限なしで雇用保険を受給する資格を得ました。

雇用保険の受給期間はどのくらいでしたか?

受給期間は3ヵ月間でした。受給できる金額は前職の給料からの計算で16万ほどでした。

16万円ですか、それだけでは生活は苦しかったのでは?

はい、生活が苦しかったので、要らないものを売ったり、貯蓄を切り崩したりして生活していました。

受給手続きはどのようにおこないましたか?

月に一回、ハローワークへ申請しに行き、1ヶ月間の活動報告(就職活動)を用紙に記載し、提出していましたね。また、申請できる日が決まっていて、変更できないため、とにかく予定を調整していました。

受給期間中に今の職に就かれたのでしょうか?

いえ、その時には再就職できませんでした。もちろん就職活動はしていましたが、前職が営業職で同じような営業職には就きたくなかったので、かなり悩んでいました。受給期間が終わり近づくにつれて不安と焦りで冷静に考えることができなくなっていきました。それと、今の会社はWEB制作をしている会社ですが、離職時、WEB制作スキルは一切なかったです。

なるほど。では、公共職業訓練で制作スキルを学んだことがキッカケだったんですね。

はい、そうなんです。実は就職相談を受けた時に訓練の話を聞きました。訓練中は手当ももらえると聞きましたし、手に職もつけられると考えたので、迷いなくWEBデザイナーコースに申し込みました。

公共職業訓練には試験がありますが、倍率はどのくらいでしたか?

WEBデザイナーコースの倍率は確か3倍ぐらいだったと記憶しています。面接と筆記試験がありました。その時は訓練を受けて手に職をつけるというよりも生活していくために何としても受かりたいという気持ちが強かったです。

無事にWEBデザイナーコースに合格して3ヵ月間通われたんですね。

はい、3ヵ月間WEBデザイナーコースを受講しました。電車代も出ましたし、あと、500円の受講手当てもあったので、訓練校の近くにあるお弁当屋さんでいつもワンコイン弁当を買って食べていました。あと、公共職業訓練は、よほどの理由がない限り欠席してはダメだったので、休めなかったこともありますが、とにかく手に職をつけると決めていたので休もうとは一切思いませんでした。

3ヶ月間の訓練の後、スムーズに就職できましたか?

スムーズには就職できませんでした。年齢も30歳で未経験は雇えないというところが多かったです。訓練中に制作したWEBデザインも数点も持参しましたが、今思えば、よく見せていたなと思うクオリティのものでした。ただ、もうWEB業界で生きていくと決めていたので、焦らずじっくり仕事を探しました。結果的に訓練が終って3ヶ月ぐらいで2社受かりました。

未経験で3ヶ月で2社も受かるなんてスゴイですね。WEB業界は未経験者をなかなか採用してくれないと聞きますから。

そのうちの1社は数年前に倒産しました。海外出張も多くて給料も20万ぐらいでしたから、条件を見るとブラック企業だったみたいですし、今の会社が受かっていなかったら就職していたかもしれません。今働いている会社に受かって本当に良かったです。未経験で入社しましたが、色々やらせてもらっています。人生の転機になる就職ができたと満足しています。

雇用保険や公共職業訓練で気になったことや、気付いたことはありますか?

まず、給付制限が無かったとはいえ、すぐに基本手当が給付されないとは知りませんでした。 結局、基本手当が振り込まれるまでの期間が約1ヶ月程度あったので、その期間はお金に困りました。それと、基本手当は働いていた時の給料の満額が出ないことですね。

計算式があるようなのですが、概算すると、大体5~8割程度しかもらえないと言われました。僕は6割程度でした。それも過去6ヵ月間の給与から計算されるんですが、僕はちょうどその期間、ほぼ営業利益が無かったので、会社を辞める時の手取りが少なくて、その影響はモロに受けてしまいました。

公共職業訓練に関して言えば、本当に感謝でしたね。今があるのも、WEBデザイナーコースを受講できたおかげですし、講師に恵まれました。非常に厳しい方でしたが、その結果、今の会社に就職した時に、不安はや戸惑いは無かったです。それでも実際に仕事をするとなると、自分のスキルが現場では全く役に立たないと実感しました。

3ヵ月間の訓練で学べることは本当に基本中の基本なので、そこからどうスキルアップするかは大きな課題だと思います。でも、僕はWEBデザインが楽しくて仕方なかったので、そこまで苦にならずにスキルアップできたのが良かったかもしれません。

公共職業訓練校を出て「学んだことだけでやっていける!」「楽できる!」なんて考えの人もいましたが、そんなことは全くないので、これから同じような道に進もうとしている人には本気で頑張ってほしいです。

本当にその通りですよね。では、最後に今から雇用保険を利用する人や公共職業訓練を受けようと考えていつ人に何か一言あれば、お願いいたします。

はい、雇用保険はある程度は知られていますが、公共職業訓練や補助的な制度が色々なあるんですよね。でも、そういうことは役所に行っても、こちらから具体的に質問しないと教えてくれないことが多いんです。僕も友人経由で聞いて知ったことも多かったですからね。「知らないよりも、知っていた方が良い」というのは身に染みて実感しました。せっかくこういう機会ももらえたので、このインタビューを見てもらうことで、同じような境遇の人の役に立てるようであれば嬉しいです。

雇用保険は給付制限や受給期間を確認し延長するならハロートレーニングを活用する

自己都合で会社を辞めた場合は給付制限があるため、すぐに雇用保険の基本手当は受給できないことがほとんどです。

給付制限の解除はもちろん、自分が身につけたスキルがあるなら公共職業訓練や求職者支援訓練(ハロートレーニング)を積極的に活用しましょう。

現在、雇用保険を受給している人なら共職業訓練、求職者支援訓練(ハロートレーニング)を活用することで受給期間を延長できる可能性もあります。

分からないことがあれば、自分が住んでいる自治体のハローワークに問い合わせしてみましょう。

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