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「40年後なくなる職業」を専門家に聞いてみた。レジ打ち、外食店員、弁護士は?

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 街を見渡せば警備員に自転車の整理員、コンビニ店員など高齢者が働く姿をよく見かける。人生100年と言われる今、定年後も働き続けるのは当たり前の時代かもしれない。

 だが、我々、bizSPA!世代の20~30代が老後を迎えたとき、高齢者人口はピークを迎える。

老後の仕事を今から考える

※画像はイメージです

 周りの高齢者やこれから生まれてくる若い世代と比較された結果、やりたくもないキツい労働をするハメにならないか。そうならないために、今から未来の老後の仕事を考えよう。

労働人口が減少する一方、外国人とAIがライバルに

「人生100年時代」が到来するといわれて久しいが、将来的に我々が歳を重ねた頃、労働力としての需要はあるのだろうか? 日本の今後の労働力人口の推移について、第一生命経済研究所の永濱利廣氏は分析する。

「生産年齢人口(労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口)は、今後減少の一途。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、2065年までに4割減になるといわれています。2025年の時点でさえ、600万人近くの労働力不足が懸念されている状態です」

 それだけ労働力が不足している状態なら、高齢者の仕事もなくならないと考えてよいのか? 永濱氏は「楽観視はできない」と言う。

「労働力不足を埋める4つの柱が、① AIの導入による生産性向上、② 女性の労働参加促進、③ 外国人の労働参加促進、そして④ 高齢者の労働参加促進です。女性の労働参加促進はすでに実現されつつあるので、今後、高齢者と仕事を取り合うのはAIと外国人労働者です。

 労働力人口が減少し続けることを考えると、選ばなければ仕事はあるでしょう。しかし、AIや外国人労働者と比べたときに優位性がない限り、低賃金の労働力として使われる可能性がある」

AIと共存しながら働き続けることは可能か

老後の仕事を今から考える

<外国人労働者数の推移>
’25年までに143・5万人に。厚生労働省によると労働人口に占める外国人の割合を現在の2倍にすればさらに33・9万人の増加が見込めるという※総務省「労働力調査」「人口推計」を基に作成

老後の仕事を今から考える

<高齢労働者数の推移>
’17年に男女計800万人を突破。厚生労働省によると65~69歳の労働力率を引き上げることで’30年までに120万人程度の増加が見込まれるという※総務省「労働力調査」「人口推計」を基に作成

 一方、人事戦略コンサルタントの松本利明氏は、AIと共存しながら働き続けることは可能だと話す。

「近い将来、多くの単純労働はAIに取って代わられると悲観されていますが、必ずしもそうとは言えません。チェーン展開されていない小売業などは、AIシステムを導入するよりも人間の労働力に頼ったほうがコスパがいい。また、単純労働のように見えても、細かなカスタマイズが必要でAIでは代替不可能な仕事も数多くあります」

 さらに、AIが労働を担う現場でも、AIを管理する人は必要だという。

「人手不足の売り手市場において、日本人の若者はこういった給料の安い仕事には見向きもしないので、必然的に外国人と高齢者が担うことになります。肉体労働をAIが担って、人は管理をするだけと考えれば、体力がない高齢者にとって今より働きやすい環境になると考えられます」

 ただ、そういった仕事で老後の生活に十分な給料がもらえるかは別の話。永濱氏同様、「多くの高齢者は穴埋めとしての安価な労働力とみなされる」と危惧する。こうした労働環境は、未来にどのような仕事をもたらすのか。

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