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中国船、相次ぐ領海侵入。日本人の「アメリカが守ってくれる」幻想

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 6月8日、尖閣諸島・魚釣島沖合の領海に、中国海警局の船4隻がおよそ1時間半にわたって侵入した。同海に中国海警局の船が侵入したのは、5月9日以来で、今年に入って10回目となる。

中国 海軍

※画像はイメージです(以下同じ)

 4月には、中国の空母「遼寧」を中心とする部隊が沖縄本島と宮古島の間を2回航行し、5月にも尖閣諸島周辺で中国海警局の船が与那国島所属の漁船を追尾する出来事があった。

警察権を行使したと主張する中国

 中国側は、日本の漁船が不法操業をしていたとして、中国の警察権を行使したと主張している。防衛省によると、今年1月から3月の間に日本の接続水域内に侵入した中国公船の数は289隻で、前年同期比で57%も増加したという。

 そのような状況のなか、ワシントンD.C.にあるシンクタンク「戦略予算評価センター(CSBA)」は5月、<Dragon Against the Sun: Chinese Views of Japanese Seapower>と題するレポートを公表した。

 同レポートは、現在の中国海軍と海上自衛隊の軍事力を比較し、中国海軍が優勢であることを示し、今後中国がより活発な行動に出てくると警告している。そして、中国が尖閣諸島を奪取する具体的なシナリオを紹介している。以下のようなものだ。

1. 海保の船が尖閣海域内に侵入する中国海警の船を銃撃し、その後、中国海軍が日本側を攻撃する
2. 尖閣海域で軍事的衝突への緊張が高まる。中国空母などが宮古海峡を通過し、日本側が追跡
3. 日本の早期警戒機と戦闘機が東シナ海の上空をパトロールするが、中国軍がそれらを撃墜
4. 自衛隊の併用の那覇空港を中国が巡航ミサイルで攻撃
5. アメリカが日米安保条約に基づく協力要請を拒否 米大統領は中国への経済制裁に留まる
6. 宮古海峡の西側で短期的かつ致命的な軍事衝突が勃発
7. 米軍は依然として介入せず。米軍が介入しないことを中国軍が理解し、米軍の偵察機が嘉手納基地に戻る
8. 中国が4日以内に尖閣諸島に上陸

 当然ながら、このシナリオ通りにならないことを願うまでもないが、我々は今後の海洋安全保障を考えるにあたり、ひとつのリスクとして真剣に考える必要があろう。

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